黄斑下血腫に対し、組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)ラニビズマブおよびガス硝子体内注射は血腫の移動と病変改善に有用であることを、日本大学 医学部視覚科学系眼科学分野の北川 順久氏らが前向き研究により示した。著者は、「視力の改善・維持には、治療後の再発を早期に発見し、必要に応じて血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬硝子体注射を行うことが大切」とまとめている。Ophthalmology誌2016年6月号(オンライン版2016年3月2日号)の掲載の報告。
研究グループは、加齢黄斑変性(AMD)またはポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に伴う黄斑下血腫患者連続20例(20眼)を対象に、rt-PA(25μg/0.05mL)ラニビズマズおよび100%パーフルオロプロパン(0.3mL)の硝子体内注射を行った。注射後2日間はうつ伏せとした。
主要評価項目は、治療6ヵ月後の最高矯正視力(BCVA)、副次的評価項目は中心窩網膜厚、中心窩網膜色素上皮剥離厚、中心窩ellipsoid zoneの検出率、再発率および合併症であった。
主な結果は以下のとおり。
・基礎疾患は滲出性AMD1眼、PCV19眼、黄斑下血腫は2~31乳頭径の大きさであった。
・黄斑下血腫の完全移動は17眼(85%)、部分移動は3眼(15%)で得られた。
・BCVAは、治療前20/139から治療6ヵ月後には20/65まで改善した(p=0.0061)。
・ETDRSスコアのベースラインからの平均変化量は、+13文字(p=0.0040)であった。
・中心窩網膜厚平均値は治療前599μm、治療6ヵ月後208μm(p<0.0001)、中心窩網膜色素上皮剥離厚はそれぞれ188μmおよび88μm(p=0.0140)で、いずれも有意に改善した。
・術後合併症は硝子体出血が3眼、網膜剥離が1眼に認められたが、いずれも手術により6ヵ月後にはBCVAの有意な改善が得られた(p=0.0012)。
・治療6ヵ月以内に10眼(50%)で再発したが、視力はVEGF阻害薬硝子体内注射の必要に応じた(PRN)投与により維持された。
・治療6ヵ月後のBVCAに影響する要因は、治療前および治療後中心窩ellipsoid zone検出率(それぞれp=0.0366およびp=0.0424)、治療前BCVA(p=0.0015)、治療前および治療後中心窩網膜色素上皮剥離厚(p=0.0046、p=0.0021)であった。
(ケアネット)