10月29日は「世界乾癬デー」

提供元:ケアネット

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公開日:2016/10/28

 

 2016年10月24日(月)、日本イーライリリー株式会社/鳥居薬品株式会社は、10月29日の「世界乾癬デー」に先駆け、「意識調査から考える『乾癬の治療ゴールとコミュニケーション』」と題するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、医師と乾癬患者の意識調査の結果を基に、現在の治療課題が論議された。

 はじめに、日本イーライリリー株式会社の中條航氏が、「尋常性乾癬患者を取り巻く医療環境に関する中等症・重症患者と治療医の意識調査2016」を発表した。

 続いて、調査監修者の大久保ゆかり氏(東京医科大学皮膚科教授)は、「乾癬治療の現場から考えるより良い医師と患者の関係」を、セミナー後半では、患者の立場から日本乾癬患者連合会の会長である柴崎弘之氏も今回の調査への印象を述べた。以下に内容を記す。

意識調査からわかったこと
 今回の調査結果から、患者・医師共に乾癬の疾患認知度が社会的に低いと考えていることや、患者の50%が皮膚病変の完全な消失を達成することを本当は治療目標にしたいと思っている一方、同様の目標を掲げる医師は10%未満であること、医師は、患者の約60%は治療に満足していると思っているが、実際に治療に満足していると回答した患者は33%であり、乾癬治療では治療ゴールやコミュニケーションについて、医師・患者間にギャップがあることなどが明らかとなった。

 また、患者の90%がより効果のある治療を受けたいと思っているが、そのうち生物学的製剤について、知らない/どのようなものかわからないと答えた人は52%にとどまった。

乾癬治療で重要なのは治療ゴールの共有
 大久保氏は上記の調査結果を踏まえ、患者は乾癬が日常生活に及ぼす影響や自分の治療目標を医師に伝えることが大切だが、現実的には医師に伝えることは難しいと課題を呈した。そのため、皮疹が残存していれば、現在の皮膚状態に患者が満足しているかどうかを確認したり、医師のほうから患者に積極的に声をかけることが重要であると強調した。

 また、中等症以上の患者に対しては全身療法を早期に開始することで、生涯にわたる身体的、精神的な併存疾患の合併や社会的なスティグマなどによる累積障害を回避し、通常のライフイベントを過ごせる可能性を示唆した。

生物学的製剤の恩恵を受けている患者はいまだ少ない
 生物学的製剤発売から6年たつ現在でも、患者の生物学的製剤の認知度が約半数にとどまるということに患者会も驚いており、患者会からも情報を発信していきたいと柴崎氏は語った。

 大久保氏は、生物学的製剤の普及で患者QOLが速やかに改善できるようになり、乾癬は「治らない疾患」から「コントロールできる疾患」になりつつあるため、患者は治療を諦めないでほしいと言及した。

満足度の高い乾癬治療のために
 最後に大久保氏は、それぞれの患者に合った満足度の高い治療を実現するためには、医師と患者が信頼関係を構築して治療ゴールを共有し、患者と同じ目標に向かって治療に取り組んでいくことが大切であると強調した。

「尋常性乾癬患者を取り巻く医療環境に関する中等症・重症患者と治療医の意識調査結果を発表」の詳細はこちら(PDF)

(ケアネット 常盤 真央)