肝斑は罹患率が高く、患者に心理的な影響を与えることから、有効かつ経済的、安全な治療が求められている。肝斑は従来、ハイドロキノンクリームによる治療が行われてきたが、ここにトラネキサム酸を加えることで、治療効果が高まると示唆されている。
そこで、本研究では肝斑治療における、経口トラネキサム酸とハイドロキノン4%クリーム併用とハイドロキノン4%クリーム単独使用での有効性および安全性を比較検討した。Journal of Cosmetic Dermatology誌10月号掲載の報告。
肝斑治療においてトラネキサム酸の追加はハイドロキノンの効果を高める
顔の左右対称に肝斑を有する患者100例を、治療群(トラネキサム酸250mg1日3回の内服に加え、夜間のハイドロキノン4%クリーム使用)と対照群(ハイドロキノン4%クリームのみ)に無作為に割り付けた。
試験期間3ヵ月中のMASI(肝斑の面積と重症度指数)スコアの減少を算出し、主要評価項目とした。試験終了3ヵ月後のフォローアップ時に再発についても評価した。
肝斑治療におけるトラネキサム酸とハイドロキノン併用の有効性を比較検討した主な結果は以下のとおり。
・対象者のうち88人が試験を完了した。
・6ヵ月経過時(試験期間3ヵ月、試験終了後フォローアップ3ヵ月)のトラネキサム酸とハイドロキノンの併用治療群の平均MASIスコアは、対照群と比較して1.8ポイント低かった(95%信頼区間:0.36~3.24、p=0.015)。
・再発率に両群間で有意な差は認められなかった(治療群30% vs.対照群26%)。
・副作用発生頻度も両群間で有意な差は認められなかった。
・治療満足度は、「おおむね満足~大変満足」と回答した患者がトラネキサム酸とハイドロキノンの併用治療群82.2%、対照群34.95%と、治療群が優位に高かった(p<0.001)。
以上の結果より、肝斑治療において、経口トラネキサム酸の追加はハイドロキノン4%クリームの効果を高めることができるが、再発率が高いことは、治療効果が一時的であり、より多くの調査を必要とすることを示唆している。
(ケアネット 常盤 真央)