電子処方箋によって処方薬受け取り率が向上?

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/07

 

 処方薬の過小使用は臨床転帰不良と関連しており、米国では過小使用の多くは1次ノンアドヒアランス、すなわち、患者が処方薬を受け取っていないことが原因であるという。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のAdewole S. Adamson氏らは、医療の協調性を高めエラーを減少させると評価されている電子処方箋に着目し、1次ノンアドヒアランスへの影響について、後ろ向き研究で調べた。結果、紙処方箋と比較して電子処方箋では、1次ノンアドヒアランス率が低いことを明らかにした。また要因別の検証において、処方薬数、言語、人種/民族、年齢が、1次ノンアドヒアランスの増大と関連していることを明らかにした。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年10月26日掲載の報告。

 研究グループは、都市部にあるセーフティネット病院の皮膚科クリニック外来1施設において、2011年1月1日~2013年12月31日に皮膚科薬を処方された新規患者を対象に、診療記録を後ろ向きに解析し、1次ノンアドヒアランス(1年の期間内に処方薬を受け取らなかったことがある)について調査した。

 主要評価項目は、全体の1次ノンアドヒアランス率、ならびに電子処方箋 vs.紙処方箋の1次ノンアドヒアランス率の差、副次的評価項目は、1次ノンアドヒアランスと性別、年齢、既婚・未婚、第一言語、人種/民族、処方薬数との関連であった。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は2,496例(平均年齢[±標準偏差]47.7±13.2歳、男性849例、女性1,647例)、合計処方箋数は4,318枚であった。
・全体の1次ノンアドヒアランス率は、31.6%(788/2,496例)であった。
・1次ノンアドヒアランス率は、紙処方箋を発行された患者(31.5%)よりも電子処方箋の患者(15.2%)のほうが16%低かった。
・年齢別にみた1次ノンアドヒアランス率は、70歳未満では加齢に伴い減少し(30歳未満38.9%、30~49歳35.3%、50~69歳26.3%)、70歳以上の高齢患者では増加した(31.9%)。
・処方薬数別にみた1次ノンアドヒアランス率は、1種類、2種類、3種類、4種類および5種類でそれぞれ33.1%、28.8%、26.4%、39.8%および38.1%であった。
・第一言語が英語の患者は、スペイン語またはその他の言語の患者と比較して1次ノンアドヒアランス率が最も高かった(それぞれ33.9%、29%、20.4%)。
・著者は、「なぜ1次ノンアドヒアランスが起こるのか、どのような患者で起きやすいかを明らかにし、そしてアドヒアランスと医療の質を最大化するよう治療レジメンを単純化する必要がある」とまとめている。

(ケアネット)