読む価値のある論文を、アブストラクトで効率よくスクリーニングすることはできないだろうか。東京大学の米岡 大輔氏らが、どのような文章が質の高い無作為化比較試験(RCT)の指標となるのかを調べるために、日本のRCTの論文を評価したところ、質の高いRCTと質の低いRCTではアブストラクトの文章の特徴にいくつかの有意な差があることがわかった。著者らは、この結果がrisk-of-bias tool の代わりに、価値のある論文をすばやくスクリーニングする新たな判断基準として使用できるとしている。PLOS ONE誌2017年3月9日号に掲載。
本研究では、2010年に日本で実施されたすべてのRCTについて、2名の査読者が独立して、risk-of-bias toolを用いてデータを評価した。著者らは、論文の言語スタイルの3つの側面で定量化し、アブストラクトのみでRCTの質を評価するための文書評価モデルを構築した。
主な結果は以下のとおり。
・質の評価のために選択された302件のRCTのうち、255件が「質が高い」、47件が「質が低い」と評価された。
・質の高い論文は、質の低い論文よりも長い単語を使用する傾向があった(p=0.048)が、文は一般的に短かった(p=0.004)。
・質の高い論文では、名詞の割合が大きく(p=0.026)、動詞の割合が小さかった(p=0.041)。
・論文の質を評価するための最適なトピック数は4つであると同時に、2つのトピックが質との有意な関連があった。
(ケアネット 金沢 浩子)