重篤な精神疾患は、心代謝合併症のリスク増加と関連している。米国・ジャッカー・ヒルサイド病院のChristoph U Correll氏らは、統合失調症または双極性障害を有する入院患者の心代謝合併症の有病率、入院アウトカムやコストとの関連を評価した。Annals of general psychiatry誌2017年2月10日号の報告。
本研究は、Premier Perspectiveデータベースより統合失調症または双極性障害の入院診断を有する患者をレビューした、レトロスペクティブデータベース分析である。患者は、ICD-9-CMの心代謝合併症数(0、1、2、3以上)に基づき、4つのコホートに分類された。アウトカムは、入院期間、入院中の死亡率、医療コスト、30日間の全原因による再入院とした。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症患者5万7,506例のうち、心代謝合併症を有していた患者は66.1%、2つ以上の併存疾患を有していた患者は39.3%であった。
・双極性障害患者12万4,803例のうち、心代謝合併症を有していた患者は60.5%、2つ以上の併存疾患を有していた患者は33.4%であった。
・平均入院期間は、統合失調症で8.5日、双極性障害で5.2日であった。
・さらなる心代謝合併症は、双極性障害の入院期間延長と関連していたが(p<0.001)、統合失調症では関連が認められなかった。
・入院中の死亡率は、統合失調症で1.2%、双極性障害で0.7%であった。
・さらなる心代謝合併症は、双極性障害患者の死亡率を有意に増加させ(OR:1.218、p<0.001)、統合失調症患者の死亡数は数的に増加させた(OR:1.014、p=0.727)。
・より多くの心代謝合併症を有する患者は、30日間の再入院がより多く(統合失調症:9~13%、双極性障害:7~12%)、コストも高かった(統合失調症:1万0,606~1万5,355ドル、双極性障害:7,126~1万3,523ドル、各々p<0.01)。
著者らは「統合失調症または双極性障害を有する入院患者の60%以上が心代謝合併症を有していた。統合失調症または双極性障害患者における心代謝合併症は、再入院の増加、コストの増加、ならびに双極性障害患者における入院期間延長、死亡率の増加と関連していた」としている。
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