ヒーローと悪役の皮膚描写、その違いが偏見を助長?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/05/02

 

 映画では、ヒーローと悪役に二分した皮膚描写が、無声映画時代から用いられている。米国・テキサス大学医学部ガルベストン校のJulie A Croley氏らは、米国映画歴代トップ10のヒーローと悪役について調査し、両者の皮膚所見には有意な差があることを示した。著者は、「映画では、善悪の二分を強調するため悪役には皮膚描写が用いられているが、それは、社会において皮膚疾患患者に向けられる偏見を助長する可能性がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年4月5日号掲載の報告。

 研究グループは、主要な映画におけるヒーローと悪役の皮膚所見を評価する目的で、以下の横断的研究を行った。(1)米国映画歴代トップ10の悪役の皮膚所見を特定する、(2)その皮膚所見を歴代トップ10のヒーローと量的および質的に比較する、(3)悪役の皮膚描写を深く分析する。

 皮膚所見の量的ならびに質的な比較は、χ2検定(有意水準α<0.05)を用いた。歴代トップ10のヒーローと悪役は、米国映画協会(AFI)の「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100(AFI's 100 Years…100 Heroes & Villains)」リストから得た。評価項目は、皮膚所見とその頻度とした。

 主な結果は以下のとおり。

・歴代トップ10の悪役では、6人(60%)に皮膚所見が認められた。
・主なものは、美容的に著しい脱毛(30%)、眼窩周囲の色素沈着(30%)、顔面の深いしわ(20%)、顔面の多発性瘢痕(20%)、顔面の尋常性疣贅(20%)および鼻瘤(10%)であった。
・歴代トップ10の悪役は、トップ10のヒーローに比べ、皮膚所見の頻度が有意に高かった(60% vs.0%、p=0.03)。

(ケアネット)