妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/08/31

 

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。

妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際の根拠

 妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。

・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。
・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。
・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。
・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。
・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。

 妊婦に対するSSRI使用の最適化には、以下のような治療ゴールが必要である。

(1)妊婦にとって、許容できる副作用とともに最良の治療反応が得られる最適な用量でなければならない。
(2)妊娠中の薬物動態の変化を考慮し、症状の継続的な測定を繰り返し、最適な抗うつ効果を維持するための調整が必要となる。
(3)出産後、女性が非妊娠期(母乳育児状態)に移行した際には、用量調節が必要である。

■関連記事
日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか
母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か
妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

(鷹野 敦夫)