網膜動脈閉塞症、民族性や心血管・腎疾患との関連は?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/06

 

 これまでアジアにおける、網膜動脈閉塞症に関する住民ベースのデータは限られていたが、シンガポール・国立眼科センターのNing Cheung氏らによるシンガポール眼疾患疫学研究において、中国人、インド人およびマレー人の計約1万人中、網膜動脈閉塞症の有病率は約1%、インド人で有病率が最も高く、従来から指摘されている心血管リスク因子、脳卒中のほか、慢性腎臓病との関連が明らかとなった。網膜動脈閉塞症の存在は、脳のみならず腎臓での血管の塞栓性イベントおよび損傷の徴候である可能性を示唆する結果であり、著者は「これらが長期的な研究で確認されれば、網膜動脈閉塞症を有する患者では心血管および腎臓の評価が必要となるだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月24日号掲載の報告。

 本研究には、シンガポールのさまざまな地域に住んでいる40~80歳の、中国人、マレー人およびインド人合計1万33例が参加し、2004~11年にデータが収集され、2016年11月~2017年2月に解析が行われた。

 網膜動脈閉塞症は両眼の網膜写真で確認し、2010年のシンガポール成人人口を用いて年齢調整有病率を算出するとともに、全身と眼の診察、問診ならびに臨床検査にてリスク因子を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は、1万33例中grade分類可能な網膜写真のデータがあった9,978例(99.5%)である。このうち、5,057例(50.7%)が女性、3,375例(33.8%)がインド人であった。
・網膜動脈閉塞症は、88例(0.9%)に認められた。
・年齢調整有病率は、全体では0.75%(95%信頼区間[CI]:0.60~0.95)で、民族別ではインド人(0.98%)が最も高く、次いで中国人(0.73%)、マレー人(0.44%)の順であった(p=0.03)。
・多変量解析の結果、網膜動脈閉塞症と関連する因子は、加齢(5歳増加当たりのオッズ比[OR]:1.22、95%CI:1.05~1.41)、インド人(マレー人に対するOR:3.58、95%CI:1.95~6.60)、高血圧症(OR:1.95、95%CI:1.03~3.70)、慢性腎臓病(OR:2.05、95%CI:1.15~3.64)、クレアチニン濃度(1SD増加当たりOR:1.13、95%CI:1.05~1.21)、糸球体濾過量(1SD増加当たりOR:0.67、95%CI:0.51~0.86)、脳卒中既往(OR:3.45、95%CI:1.70~6.99)であった。

(ケアネット)