認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/09/07 これまでの研究では、診察室血圧変動の大きさが、認知障害や認知症のリスク因子であることが報告されている。しかし、家庭での血圧測定によって評価された日々の血圧変動と認知症発症との関連を調べた研究はなかった。九州大学の大石 絵美氏らは、久山町研究に登録されている日本人高齢者の日常血圧変動と認知症リスクとの関連を調査した。Circulation誌2017年8月8日号の報告。 認知症でない60歳以上の日本人高齢者1,674人を対象に、5年フォローアップ調査を行った(2007~12年)。家庭血圧は、毎朝3回測定した(中央値:28日)。日々の収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)の変動は、自宅でのSBPおよびDBPの変動係数(CoV)として計算し、四分位で分類した。すべての認知症、血管性認知症(VaD)、アルツハイマー型認知症(AD)の発症に対する家庭血圧のCoVレベルのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中に認知症を発症したのは194人、そのうちVaD47人、AD134人であった。 ・すべての認知症、VaD、AD発症率は、年齢・性別で調整したのち、家庭SBPのCoVレベル増加とともに有意に増加していた(すべて、P for trend<0.05)。 ・家庭SBPを含む潜在的な交絡因子で調整したのちでも、これらの関連は変化しなかった。 ・家庭SBPのCoVレベル第4四分位群の人におけるすべての認知症(HR:2.27、95%CI:1.45~3.55、p<0.001)、VaD(HR:2.79、95%CI:1.04~7.51、p=0.03)、AD(HR:2.22、95%CI:1.31~3.75、p<0.001)発症リスクは、第1四分位群の人と比較し、有意に高かった。 ・家庭DBP血圧のCoVレベルについても、同様の関連が認められた。 ・家庭SBPレベルは、VaDリスクと有意な関連が認められたが、すべての認知症およびADリスクとは関連が認められなかった。 ・家庭SBPレベルと家庭SBPのCoVレベルとの間に、認知症の各サブタイプリスクと関連する相互作用は認められなかった。 著者らは「家庭血圧の平均値とは無関係に、日常の血圧変動の増加が、日本人高齢者のすべての認知症、VaD、AD発症のリスク因子であることが示唆された」としている。 ■関連記事 血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか 認知症予防の新たな標的、グルコースピーク 認知症になりやすい職業は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Oishi E, et al. Circulation. 2017;136:516-525. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 小児がん、定期的な症状スクリーニングで苦痛な症状が改善/JAMA(2024/11/21) 米国民の幸福度、国内格差を人間開発指数で解析/Lancet(2024/11/21) エンパグリフロジン投与終了後もCKDの心・腎保護効果が持続、レガシー効果か?(解説:栗山哲氏)(2024/11/21) 心臓MRIによるLGEはLVEFより拡張型心筋症のリスクをより良く予測する(解説:佐田政隆氏)(2024/11/21) 肺動脈性肺高血圧症治療剤ユバンシ配合錠が発売/ヤンセン(2024/11/21) TN乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、販売開始/ギリアド(2024/11/21) ROS1陽性NSCLCへの新たな選択肢レポトレクチニブ、その特徴は?/BMS(2024/11/21) 低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発、リバーロキサバン18ヵ月vs. 6ヵ月(ONCO PE)/AHA2024(2024/11/21) 大腸がん検診、現時点では血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる(2024/11/21) うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?(2024/11/21) [ あわせて読みたい ] 救急エコー最速RUSH! (2017/07/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07)