長期にわたる紫外線曝露による皮膚の老化(光老化)は、多くの患者にとって審美的な問題である。米国・ブラウン大学のKaveri Korgavkar氏らは、日光角化症の治療に用いられるフルオロウラシルクリーム5%(5-FUクリーム)の光老化に対する効果を、写真数値化スケール(photonumeric scale)を用いて検討したが、光老化の改善は認められなかった。著者は結果について、「光ダメージに対し本当に効果がないのか、もしくは効果を測る写真数値化スケールに限界があるのかもしれない」との見解を示し、「ほくろ、色素沈着および毛細血管拡張など、シワ以外の光老化の徴候を含む写真数値化スケールの開発を考えなければならない」と報告をまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年9月6日号掲載の報告。
研究グループは、2011年9月30日~2014年6月30日に行われた、2部位以上の皮膚角化細胞がんの既往歴を有する退役軍人を対象に、5-FUクリームの化学的予防効果を評価した二重盲検プラセボ対照試験「Veterans Affairs Keratinocyte Carcinoma Chemoprevention(VAKCC)試験」の、2次解析を行った。
VAKCC試験では932例が登録され、5-FUクリーム群とプラセボ群に無作為に割り付けられた。両群とも顔と耳に1日2回、2~4週間、合計28~56回塗布し、ベースラインおよび最長4年まで複数回にわたり写真が撮影された。
2次解析の対象は281例で、ベースライン、6ヵ月後、12ヵ月後および18ヵ月後に撮影した写真について、4種類の写真数値化スケールを用い、皮膚科医2人がそれぞれ光ダメージを評価した。解析は、2016年11月1日~2017年1月1日に行われた。
主な結果は以下のとおり。
・281例の患者背景は、平均年齢71.5(SD 0.57)歳、大部分が男性(274例、97.5%)で、全例白人であった。
・いずれの評価時点においても、ベースラインからの光ダメージの有意な変化は認められなかった。
・各時点でのGriffiths scale/Allergan forehead lines scale/melomental fold scale/crow's feet scaleの結果はそれぞれ下記のとおり:
6ヵ月後:χ2=0.01、p=0.93/χ2=0.18、p=0.67/χ2=0.03、p=0.87/χ2=2.41、p=0.12
12ヵ月後:χ2=1.39、p=0.24/χ2=0.64、p=0.43/χ2=0.12、p=0.73/χ2=1.07、p=0.30)、
18ヵ月後:χ2=3.11、p=0.08/χ2=0.89、p=0.34/χ2=1.64、p=0.20/χ2=0.46、p=0.50)。
(ケアネット)