妊娠中のアルコール摂取は、子供の発育の危険因子であると考えられている。子宮内アルコール曝露の子供におけるバイオマーカーについては、ほとんど研究されていない。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルクのAnna Eichler氏らは、胎便中のアルコール代謝物(エチルグルクロニド:EtG)が、小学校就学年齢の子供における認知機能の発達、ADHD関連行動、注意および執行制御の神経生理学的マーカーと関連しているかを調査した。Journal of child psychology and psychiatry, and allied disciplines誌オンライン版2017年9月11日号の報告。
母親は、妊娠第3期にアルコール摂取に関する自己アンケートを提出した。胎便のサンプルは、出生時に収集した。検出限界(10ng/g以上)を上回る胎便中EtGを有する44例と、そうではない対照群44例の比較を行った。検出量の影響を調査するため、第2の閾値(154ng/g以上)を設定した。子供が小学校就学年齢に達した際、母親はADHD関連行動を評価し、子供の認知機能の発達はIQテストバッテリーを用いて測定され、イベント関連の可能性の測定にはgo/nogoタスクを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・両方のEtG陽性群は、対照群と比較しgo/nogoタスクに対する注意力リソースが少なかった(goタスクにおけるP3が減少)。
・胎便中EtGが154ng/g以上の群は、他の群よりもIQが6ポイント低かった。
・EtG 154ng/g以上の群は、EtG値とADHD関連行動との間に正の相関が認められた。
・これらの有意な影響は、母親の自己報告データでは観察されなかった。
著者らは「EtGと認知機能障害、注意力リソース能力、ADHD関連行動との関連は、部分的に検出量に依存的な影響が認められた。母親の自己報告に加え、この子宮内アルコール曝露のバイオマーカーは、子供の発達の予測因子と考えられる」としている。
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(鷹野 敦夫)