日本人において、飲酒量がインスリン分泌不全およびインスリン抵抗性の発症率と相関することが、佐久研究における帝京大学の辰巳友佳子氏らの検討により示された。Diabetes research and clinical practiceオンライン版2017年10月27日号に掲載。
本研究は5年間のコホート研究で、佐久中央病院で2008年4月~2009年3月に75gOGTTを含む健康診断を受けた、2型糖尿病またはインスリン分泌不全またはインスリン抵抗性ではない30~74歳の日本人2,100人が参加した。参加者を週当たりの飲酒量によって、非飲酒者(0g)、軽度飲酒者(男性:1~139g、女性:1~69g)、中程度飲酒者(男性:140~274g、女性:70~139g)、多量飲酒者(男性:275g以上、女性:140g以上)に分けた。2014年3月末までのフォローアップ健康診断時にOGTTにより見つかったインスリン分泌不全(insulinogenic index:51.7以下)およびインスリン抵抗性(HOMA-IR:2.5以下)の発症率について、非飲酒者に対する軽度~多量飲酒者でのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を多変量調整Cox比例ハザードモデルで推計した。
*アルコール量20gの目安:ビール(5%)500mL、ワイン(14%)180mL
主な結果は以下のとおり。
・インスリン分泌不全は708例、インスリン抵抗性は191例であった。
・インスリン分泌不全のHR(95%CI)は、軽度、中程度、多量飲酒者の順に、1.16(0.96~1.40)、1.35(1.07~1.70)、1.64(1.24~2.16)であった(傾向のp<0.001のP)。
・インスリン抵抗性のHR(95%CI)は、順に1.22(0.84~1.76)、1.42(0.91~2.22)、1.59(0.96~2.65)であった(傾向のp=0.044)。
(ケアネット 金沢 浩子)