長時間労働やシフト作業は認知症発症に影響するか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/28 中年期のシフト作業や長時間労働が、その後の認知症リスクに及ぼす影響について、デンマーク・コペンハーゲン大学のKirsten Nabe-Nielsen氏らが、調査を行った。Scandinavian journal of work誌2017年11月1日号の報告。 対象は、コペンハーゲン男性研究(Copenhagen Male Study)より抽出された4,766例。評価に用いた情報は、シフト作業(1970~71年および1985~86年に収集)、45時間超/週の長時間労働(1970~71年に収集)、社会経済的状況、睡眠、ストレス、心血管リスク因子であった。認知症診断に関する情報は、診療記録より得た。対象者を2014年まで追跡した(平均追跡期間:17.8年)。生存分析、推定発症率比(IRR)、95%信頼区間(CI)の算出にポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・認知症とシフト作業(IRR:0.86、95%CI:0.70~1.05)または長時間労働(IRR:0.97、95%CI:0.79~1.19)との間に、統計学的に有意な関連は認められなかった。 ・潜在的な交絡因子やメディエーターで調整した後でも、推定値に変化は認められなかった。 ・曝露評価の両時点でのシフト作業は、両時点での非シフト作業者と比較し、認知症発症率の高さと関連が認められなかった(IRR:0.99、95%CI:0.69~1.42)。 ・1つの時点でシフト作業が報告されていた対象者において、認知症発症率が最も低かった(1985~86年のみ[IRR:0.44、95%CI:0.16~1.23]、1970~71年のみ[IRR:0.58、95%CI:0.31~1.11])。 著者らは「シフト作業や長時間労働と認知症発症率との関連を示す肯定的なエビデンスは見いだせなかったが、シフト作業や長時間労働の評価がきちんと行われていない可能性があり、これが本研究の主要な限界である」としている。 ■関連記事 認知症になりやすい職業は なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか 認知症になりにくい性格は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nabe-Nielsen K, et al. Scand J Work Environ Health. 2017;43:569-577. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.徳田のすぐできるフィジカル超実技(2017/11/07) Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07)