うつ病とアルコール消費に関して、比較的大規模な研究で調査されており、双方の因果関係を示唆するエビデンスが報告されている。しかし、この逆の因果関係(reverse causation)から生じる内生性は、報告されていない。オーストラリア・RMIT大学のS. Awaworyi Churchill氏らは、アルコールとうつ病との関連をレビューし、この関連の内生性について調査した。Drug and alcohol dependence誌2017年11月1日号の報告。
英国の健康調査(HSE:Health Survey for England)より得られた5,828例のデータを用いて、アルコールとうつ病との関連をレビューし、この関連の内生性について調査した。自己評価により収集されたうつ病関連情報とLewbel 2段階最小二乗法(2SLS:two-staged least square)による内生性のコントロールの情報を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・アルコール摂取によりうつ病が促進されていた。
・この関連は、アルコール摂取量、アルコールの強さ、アルコール依存症、依存のリスクを含む飲酒行動のいくつかの尺度において一貫して認められた。
著者らは「英国では、飲酒は文化の一部として一般的に受け入れられているが、これは無視することのできない身体的および精神的な健康の両面においてコストの問題を有する。公的政策は、主に過度のアルコール摂取による身体的側面に焦点を当てているが、QOLやウェルビーイングへのアルコール摂取低下による精神的な健康コストに対しても、よい影響を及ぼす可能性がある」としている。
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