日常のプライマリケアにおいて、下気道症状を有する患者の肺炎診断に、体温>37.8℃、crackle、SpO2<95%、脈拍>100/分の4つの所見が予測因子となることが、英国サウサンプトン大学のMichael Moore氏らの前向きコホート研究により示唆された。The European Respiratory Journal誌2017年11月22日号に掲載。
本研究は日常診療における肺炎の診断に役立てるために実施された。2009~13年に英国の診療所5,222施設から、下気道感染(LRTI)による成人急性咳嗽患者2万8,883例が登録された。症状・徴候・治療について、診察時およびその後のイベント時に記録し、カルテ審査によって30日間追跡した。著者らは、最初の1週間での肺炎診断における、患者特性・主症状・臨床所見の予測的有用性を確立した。
主な結果は以下のとおり。
・2万8,883例中720例(2.5%)が診察の1週間以内にレントゲン撮影を実施され、そのうち115例(16.0%、2万8,883例の0.40%)でdefiniteもしくはprobableの肺炎診断を受けた。
・レントゲン検査で確認された肺炎において、体温>37.8℃(リスク比[RR]:2.6、95%CI:1.5~4.8)、聴診におけるcrackle(RR:1.8、95%CI:1.1~3.0)、SpO2<95%(RR:1.7、95%CI:1.0~3.1)、脈拍>100/分(RR:1.9、95%CI:1.1~3.2)の4つが有意で独立した予測因子であった。
・ほとんどの肺炎患者(99/115、86.1%)がこの4つの臨床徴候の1つ以上を示し、その陽性的中率は20.2%(95%CI:17.3~23.1)であった。
著者らは、日常臨床では、LRTIの短期合併症として肺炎は非常にまれである(1/270)ことを紹介し、また、このセッティングにおける肺炎診断にパルスオキシメトリーが役立つ可能性を指摘している。
(ケアネット 金沢 浩子)