高血糖はがん全体および特定のがんの発症率と関連し、糖尿病によるリスクとは異なる。フランスの大規模なプライマリケア集団(IPCコホート)において、これらの関連を全死因死亡や非がん死亡と比較し分析したところ、高血糖ががん死亡と有意に関連(とくに消化器がんと白血病)していたが、非がん死亡とは関連していなかった。またこの関連は、長期アスピリン治療を含む交絡因子を考慮しても維持された。Diabetologia誌オンライン版2018年1月5日号に掲載。
1991年1月~2008年12月に、16~95歳(平均±SD:男性44.8±12.0歳、女性45.1±14.2歳)の30万1,948人(男性19万3,221人、女性10万8,727人)がCenter Ipc Parisで健康診断を受けた。健康診断中に標準状態で収集したすべてのデータを統計分析に使用した。血糖測定を含むすべての検査は絶食条件下で行った。糖尿病を有する参加者(9%未満)は分析から除外した。参加者は、血糖値により五分位に分類され、全死因死亡、がん死亡、非がん死亡を評価するために、最大17年間(平均±SD:9.2±4.7年)追跡された。
主な結果は以下のとおり。
・年齢と性別を調整後、がん死亡率と血糖の五分位の間に非線形の関係がみられた。
・最も血糖値が高い群とがん関連死亡の間に有意な関連があった(多変量Coxモデル、ハザード比:1.17、95%CI:1.03~1.34)が、正常血糖群はがん死亡と関連はなかった。
・血糖値と全死因死亡率または非がん死亡率との間に関連はみられなかった。
・消化器がんと白血病において、最も血糖値が高い五分位で死亡の過剰リスクがみられ、糖尿病やアスピリン使用について調整した後も結果は変わらなかった。しかし、この過剰リスクは血糖降下薬使用で消失した(ハザード比:1.03、95%CI:0.74~1.43)。
(ケアネット 金沢 浩子)