イスラム過激派組織による拘束後のレイプとPTSD 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/04/05 戦争や戦闘的な状況にある女性に対して、レイプが及ぼす心理的な影響に関する研究は限られている。イラク・ドホーク大学のJan Ilhan Kizilhan氏は、イスラム過激派組織(IS)による拘束中のレイプを報告したヤジディ教徒の女性における、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の有病率と特質を調査し、他の心理学的障害の合併、PTSDに関連するリスクファクターについて調査を行った。Archives of women's mental health誌オンライン版2018年3月10日号の報告。 研究は、レイプを受けたヤジディ教徒の女性生還者296名を対象に、ドイツ・バーデン・ビュルテンベルク州の特別地域該当プロジェクトの一環として実施され、ISに人質として拘束された後に脱出した女性や子供を支援するため計画された。レトロスペクティブ横断的研究として生還者を募った。レイプされた女性のメンタルヘルス状態を評価するため、訓練を受けたドイツのインタビュアーによって実施された。 主な結果は以下のとおり。 ・調査されたすべての女性は、拘束されている間に何度もレイプされていた。 ・女性の約82%は、身体的な拷問も受けていた。 ・対象者には、身体表現性障害(67%)、うつ病(53%)、不安(39%)、解離(28%)が認められた。 ・レイプの回数と関連したPTSDの有病率は、20回以上で57%(95%CI:35.1~65.9%)、20回未満で41%(95%CI:28.7~4.8%)、10回未満で39%(95%CI:28.2~41.8)であった。 著者は「ISによる拘束や戦争中のレイプは、女性生還者のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼしている。PTSDの高い有病率は、戦争中のレイプによる中・長期的な結果に対処するため、文化的に繊細な診断および治療サービスの必要性を強調するものだ」としている。 ■関連記事 テロ襲撃後のPTSDやうつ病、2年前のバルド国立博物館襲撃事件より 身体活動がPTSDに及ぼす影響 東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kizilhan JI. Arch Womens Ment Health. 2018 Mar 10. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 PTSDやBPDにおける解離性症状と自殺傾向との関係 医療一般(2021/10/28) PTSDの悪夢やフラッシュバックに対するトリヘキシフェニジル治療の有効性 医療一般 日本発エビデンス(2021/07/07) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)