PTSDの悪夢やフラッシュバックに対するトリヘキシフェニジル治療の有効性

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、悪夢やフラッシュバックを特徴とする、外傷性イベント後に発症する可能性のある不安障害である。この悪夢やフラッシュバックの根底にあるPTSDのメカニズムは解明されておらず、抗うつ薬や抗精神病薬を含むいくつかの薬剤が治療に用いられている。そごうPTSD研究所の十河 勝正氏らは、抗コリン薬ブチルスコポラミン臭化物によるケーススタディに続いて、PTSD関連の悪夢やフラッシュバックに対する中枢性抗コリン薬の効果について、検討を行った。Brain and Behavior誌2021年6月号の報告。
PTSDの悪夢やフラッシュバックの治療、中枢性抗コリン薬の有効性を証明
過去(約2~15年)の精神医学的治療に奏効しなかった難治性のPTSD関連の悪夢やフラッシュバックを有する患者34例を対象に、トリヘキシフェニジルによる治療を行った(オープンラベル試験:22例、単盲検試験:12例)。トリヘキシフェニジルの効果を測定するため、PTSD臨床診断面接尺度(Clinician-Administered PTSD Scale:CAPS)および出来事インパクト尺度改訂版(Impact of Event Scale-Revised:IES-R)を用いた。PTSD関連の悪夢やフラッシュバックに対する中枢性抗コリン薬の効果について検討した主な結果は以下のとおり。
・治療開始2週間以内に、悪夢やフラッシュバックに対する顕著な改善が確認された。
・オープンラベル(各々:p<0.001)および単盲検試験(各々:p=0.001)のいずれにおいても、悪夢やフラッシュバックの有意な改善効果が認められた。
●悪夢の頻度:治療前3.24(週に数回~ほぼ毎日)→治療後0.45(なし~月に1、2回)
●悪夢の重症度:治療前3.45(重度以上)→治療後0.56(なしまたは軽度)
●フラッシュバックの頻度:治療前3.36(週に数回~ほぼ毎日)→治療後0.48(まったくないまたは月に1、2回)
●フラッシュバックの重症度:治療前3.32(重度以上)→治療後0.61(なしまたは軽度)
・全体として、CAPSサブスコアの悪夢やフラッシュバックについて、「なし」または「軽度(月に1、2回)」への改善が認められた。
●悪夢の改善率:88%(34例中30例)
●フラッシュバックの改善率:79%(34例中27例)
著者らは「本研究は、難治性のPTSD関連の悪夢やフラッシュバックの治療におけるトリヘキシフェニジルの潜在的な有効性を証明した最初の研究である。PTSDに対するトリヘキシフェニジルの臨床的ベネフィットをさらに調査するためにも、二重盲検ランダム化比較試験の実施が望まれる」としている。
(鷹野 敦夫)
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