皮膚科診療において、医師助手(Physician assistant:PA)による皮膚がんの診断がますます増えているが、これまでPAの診断精度について、皮膚科専門医と比較する研究は行われていなかった。米国・ピッツバーグ大学のAlyce M. Anderson氏らは、皮膚がんのスクリーニングを受けた約2万例を後ろ向きに解析し、皮膚がんの診断において、PAは皮膚科医と比較してより多くの生検を行うが悪性黒色腫の診断は少ないことを明らかにした。また、PAの診断精度は皮膚科医より低い場合があると示唆した。しかし、同氏らは、「PAの導入は、皮膚科受診の増加や、予約待ち時間削減に役立つ可能性があり、今回の結果は皮膚科診療におけるPAおよび医師以外の医療従事者の訓練、適切な診療範囲、監督に対して重要な意義を持つ」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年4月18日号掲載の報告。
研究グループは、皮膚がんの診断精度をPAと皮膚科医で比較するため、2011年1月1日~2015年12月31日に、ピッツバーグ大学医療センター関連施設にてスクリーニングされた2万270例の皮膚がんから3万3,647件の診療記録を解析した。
皮膚科医とPAによるスクリーニング検査の病理報告から皮膚がんを同定するために国際疾病分類(ICD)第9版のV76.43、および第10版のZ12.83のコードを用いた。
主要評価項目は、皮膚がん(非悪性黒色腫、浸潤性悪性黒色腫または上皮内黒色腫)を診断する生検必要数(Number needed to biopsy:NNB)であった。
主な結果は以下のとおり。
・2万270例中、1万2,722例(62.8%)が女性、初診時年齢は平均(±SD)52.7±17.4歳で、自己申告によると1万9,515例(96.3%)が非ヒスパニック系白人であった。
・皮膚がん1例を診断するためのNNBは、PAで3.9、皮膚科医で3.3であった(p<0.001)。
・悪性黒色腫の場合は、NNBはPAで39.4、皮膚科医で25.4であった(p=0.007)。
・PAが生検した患者では、皮膚科医が生検した患者より、上皮内黒色腫の診断がかなり少なかった(受診全体の1.1% vs.1.8%、p=0.02)。しかし、浸潤性悪性黒色腫(0.7% vs.0.8%、p=0.83)、悪性黒色腫以外の皮膚がん(6.1% vs.6.1%、p=0.98)については、有意差は認められなかった。
(ケアネット)