白内障手術で、高齢者の交通事故が減少!?

提供元:ケアネット

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公開日:2018/07/24

 

 白内障は、世界的に最も一般的な視力障害の原因であり、重大な交通事故のリスクを増加させる可能性がある。しかし、白内障の手術が、患者による交通事故を減少させるかはわかっていない。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、最初の片眼の白内障手術(ほとんどの患者はすぐにもう片方の眼も施術)を受けた地域住民の患者を対象に、個々においてセルフマッチングクロスオーバー曝露研究を行い、白内障手術が術後患者における重大な交通事故誘発のリスクを、わずかに減少させることを明らかにした。著者は、「このことは死亡率、罹患率および社会的コストに対して潜在的な影響があると考えられる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月28日号掲載の報告。

 研究グループは、白内障の手術が、患者の運転による重大な交通事故を減少させるかを縦断的に解析した。

 研究期間は2006年4月1日~2016年3月31日。カナダ・オンタリオ州に在住で白内障手術を受けた65歳以上の治療継続患者55万9,546例を対象とし、患者自身の運転による交通事故での救急受診について調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象55万9,546例は、平均年齢(±SD)76(±6)歳、女性58%(32万6,065例)で、そのうち86%(48万1,847例)が都市部に居住していた。
・交通事故は、3.5年のベースライン期間中に計4,680件(2.36件/1,000人年当たり)、その後の1年間で計1,200件(2.14件/1,000人年当たり)が発生していたが、白内障の手術を受けることで1,000人年当たり0.22件の減少が認められた(オッズ比[OR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.84~0.97、p=0.004)。また、この相対的減少には、多様な特徴を有する患者が含まれていた。
・患者が同乗者であった場合の交通事故(OR:1.03、95%CI:0.96~1.12)、あるいは歩行者であった場合の交通事故(同:1.02、同:0.88~1.17)や、そのほか関連のない重篤な状況での救急受診など、ほかの転帰については有意な減少はみられなかった。
・多変量モデルによると、術後の交通事故リスクがより高いのは、年齢が若い(同:1.27、同:1.13~1.14)、男性(同:1.64、同:1.46~1.85)、交通事故歴がある(ベースラインOR:2.79[95%CI:1.94~4.02]、induction OR:4.26[同:2.01~9.03])、救急受診回数が多い(OR:1.34、95%CI:1.19~1.52)、内科外来受診回数が多い(同:1.17、同:1.01~1.36)といった患者であった。

(ケアネット)