オシメルチニブはEGFR T790M変異非小細胞肺がん(NSCLC)に有効性を証明しているが、その結果は組織生検によるT790M判定例のものであり、リキッドバイオプシーによるT790M判定例における検討は十分ではない。そこで、リキッドバイオプシー判定によるT790M変異NSCLCに対するオシメルチブの効果を前向きに評価した第II相試験(WJOG8815L/LPS)が実施され、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、近畿大学の高濱 隆幸氏により発表された。
試験は2つのパートに分かれ、パート1ではT790M変異をコバスEGFR検出キットv2.0(コバス)とDropletデジタルPCR(ddPCR)でスクリーニングし、パート2ではスクリーニングされた患者に対し、オシメルチニブ80mg/日をPDになるまで投与した。帰無仮説は30%、対立仮説は55%と設定している。
・対象:1回以上のEGFR-TKI治療でPDとなったT790M変異陽性NSCLC(CNS転移は除外)
・試験薬:オシメルチニブ80mg/日をPDになるまで投与
・評価項目:コバスでT790M変異陽性となった患者の奏効率(ORR)
主な結果は以下のとおり。
・276例がスクリーニング対象となり、74例がリキッドバイオプシーでT790M変異陽性となった。
・74例中53例がオシメルチニブ投与に割り付けられた。そのうちコバスでT790M陽性と判定されたのは49例であった。
・コバスでT790M変異陽性となった患者のORRは55.1%(95%CI:40.2~69.3)。95%CIの下限が、事前に設定した閾値30%を超えたため、主要評価項目は達成された。
・疾病コントロール率は93.9%であった。
・T790M変異陽性と判定された全例(ddPCRでの検出例も含む)中、有害事象で脱落した1例を除く52例のORRは53.8%であった。
・有害事象については、ほかのオシメルチニブ臨床試験と同様であった。
この結果から、リキッドバイオプシーはオシメルチニブの効果予測因子であり、生検組織の有無にかかわらず、リキッドバイオプシーの有用性を示唆するものだとしている。
(ケアネット 細田 雅之)