同一患者の両眼において、緑内障の変化に対する関連を知ることは、臨床医にとって役立つことだろう。米国・ミシガン大学のLeslie M. Niziol氏らは、新たに診断された開放隅角緑内障患者を対象に薬物治療と手術療法の有効性を比較したCollaborative Initial Glaucoma Treatment Study(CIGTS)の事後解析を行い、患者のほぼ半数は両眼に割り付けられた最初の治療を受け、7年後には全体の約3分の2が双方の治療を受けていたことを明らかにした。他眼(FE)治療の予測変数のうち修正可能な因子は高血圧と眼圧(IOP)で、MD slopeは試験眼(SE)と治療を受けたFEで同程度であった。著者は「SEの変化は、FEの変化の前兆を意味し、原因を注意して見守る必要がある」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年8月9日号掲載の報告。
研究グループは、SEの緑内障治療開始と、FEの治療が必要となる期間を推定し、SEとFE、それぞれの進行度の関連を調べる目的で、CIGTSの参加者を対象に事後解析した。CIGTSでは、片目もしくは両目で新たに診断された開放隅角緑内障患者607例を最長11年間追跡した。SEはベースライン時点で診断され、薬物治療群と手術療法群に無作為に割り付けられた。患者が、FEの適格基準を満たす、または医師が治療の必要性を判断した場合に、プロトコールに基づき治療された。
生存分析を用いFE治療の経時的な発生率を推定するとともに、治療の時間依存的な予測因子を評価した。患者眼のMD slopeとIOP slopeから経時的な回帰直線を求め、疾患の進行、SEとFEの経過の関連を予測した。
1993年10月~2004年12月までのデータを収集し、2012年9月~2018年5月に解析を行った。主要評価項目は、FEが治療に至るまでの期間と、SEおよびFEのMD slopeとIOP slopeであった。
主な結果は以下のとおり。
・607例中、男性334例(55.0%)、白人337例(55.5%)、平均年齢(±SD)58.0±10.9歳だった。
・FEの治療開始時期は、291眼(47.9%)がベースライン時、123眼(20.3%)は試験中、193眼(31.8%)は未治療だった。
・FEの開放隅角緑内障の治療発生率は、無作為化後1年時0.57、7年時0.68であった。
・FE治療のハザード比は患者背景と有意に関連し、高齢(ハザード比[HR]:1.33、95%信頼区間[CI]:1.08~1.64、p=0.007)、高血圧(HR:1.76、95%CI:1.16~2.67、p=0.008)、眼圧高値(HR:1.24、95%CI:1.20~1.29、p<0.001)、陥凹乳頭径比(cup/disc ratio)が大きい(HR:1.40、95%CI:1.23~1.58、p<0.001)、およびMDの悪化で高かった。
・SEとFEとのMD slopeに関する相関性は、ベースライン時治療FEが0.73、試験中治療FEは0.71、未治療FEは0.34であった。IOP slopeの相関性はそれぞれ0.57、0.24、0であった。
(ケアネット)