進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の1次治療はプラチナ化学療法とエトポシドの併用だが、20年以上大きな進歩はみられておらず、全生存期間(OS)中央値は10ヵ月程度である。一方で、小細胞肺がんは腫瘍変異負荷が高いことから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されている。そこで、小細胞肺がんに対する、カルボプラチン・エトポシドへの免疫チェックポイント薬アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133が行われている。同試験の中間解析の結果がNEJM誌2018年9月25日号で発表された。
アテゾリズマブ群のOSが有意に改善
IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。
・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む)
・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル
・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル
・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS
主な結果は以下のとおり。
・201例がアテゾリズマブ群に、202例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。
・追跡期間中央値は13.9ヵ月であった。
・OSはアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、p=0.007)。
・1年OS率はアテゾリズマブ群52.7%、プラセボ群38.2%であった。
・PFSはアテゾリズマブ群5.2ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.02)。
・サググループをみてもこのアテゾリズマブ群で良好な結果であった。
・安全性プロファイルは、すでに個々の薬剤で報告されているものと同様であった。
ES-SCLC患者の1次治療において、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブの追加はOSおよびPFSを有意に改善した。
なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺癌学会(WCLC2018)で発表された。
(ケアネット 細田 雅之)