良性の卵巣腫瘍、保存的治療2年で自然消退2割、悪性化リスクは低い/Lancet Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/01

 

 付属器腫瘤は、産婦人科において最も頻繁に遭遇する疾患の1つといわれる。これまで長期追跡した大規模前向き研究はほとんどなかったが、ベルギー・ルーベン大学病院のWouter Froyman氏らが、国際共同前向きコホート研究「International Ovarian Tumor Analysis Phase 5:IOTA5」の中間解析を行い、超音波検査で最初に良性と診断された付属器腫瘤を保存的に治療しても悪性腫瘍や急性合併症の発生リスクは低いと報告した。卵巣腫瘍は多くの場合、合併症リスクのため外科的に切除されるが、「今回の結果は患者のカウンセリングに有用で、良性の付属器腫瘤に対する保存的治療を支持するものである」とまとめている。Lancet Oncology誌2019年3月号の掲載報告。

 IOTA5研究の対象は、超音波検査後に手術または保存的治療が選択された1つ以上の付属器腫瘤を有する18歳以上の患者で、14ヵ国の36施設から連続的に登録された。

 研究グループは今回、超音波画像の主観的評価に基づき最初に良性と診断され保存的治療が選択された患者について、追跡期間2年における付属器腫瘤の嚢胞合併症および悪性腫瘍の累積発生率を推定する目的で中間解析を行った。保存的治療では3ヵ月後、6ヵ月後、その後は12ヵ月ごとに超音波検査による臨床経過の観察が行われ、追跡調査は現在も進行中である。

 中間解析の評価項目は、付属器腫瘤が新規に診断され登録された患者における腫瘤の自然消退、捻転または嚢胞破裂、あるいは手術で確認された境界型または浸潤性の悪性腫瘍の累積発生率であった。

 主な結果は以下のとおり。

・IOTA5研究には、2012年1月1日~2015年3月1日に、8,519例が登録された。
・保存的治療が選択されたのは3,144例(37%)で、そのうち1,919例(74%)が、付属器腫瘤が新規に診断され登録された患者であった。
・追跡期間中央値は27ヵ月。
・1,919例における追跡期間2年の累積発生率は、腫瘤の自然消退20.2%(95%CI:18.4~22.1)、浸潤性悪性腫瘍0.4%(95%CI:0.1~0.6)、境界型腫瘍0.3%(95%CI:<0.1~0.5)、捻転0.4%(95%CI:0.1~0.7)、嚢胞破裂0.2%(95%CI:<0.1~0.4)であった。

(ケアネット)