肺がん患者へのPD-1阻害薬治療において、抗核抗体(ANA)発現の有無は生存に影響するのか。九州大学病院 呼吸器科の米嶋 康臣氏らが、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者83例を対象に安全性と有効性の検討を行った結果、自己免疫疾患の明らかな増悪はみられなかったが、ANA陽性患者生存予後は、ANA陰性患者と比べて有意に不良であったという。Lung Cancer誌2019年4月号掲載の報告。
研究グループは、進行NSCLC患者へのPD-1阻害薬の安全性および有効性に対するANAの潜在的影響を調べるため、PD-1阻害薬単独療法を受けた進行NSCLC患者について、ANAなど臨床データを後ろ向きに検討した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象は83例で、そのうち18例(21.7%)がANA陽性であった。
・免疫関連の有害事象(irAEs)の発現頻度は、ANA陽性群33.3%(6/18例)、ANA陰性群32.2%(21/65例)と、両群間で差はみられなかった。
・ANA力価は、投与によって上昇する傾向がみられた。
・無増悪生存期間はANA陽性群2.9ヵ月、ANA陰性群3.8ヵ月(p=0.03)、全生存期間はANA陽性群11.6ヵ月、ANA陰性群15.8ヵ月(p=0.03)と、どちらもANA陽性群で有意に不良であった。
著者は「ANA陽性の患者への投与は安全に行われたが、抗体価の上昇もあることから、厳密なモニタリングが必要である」とまとめている。
(ケアネット)