がんサバイバーの心血管疾患による死亡は重大な懸念となっている。米国・南カリフォルニア大学のKyuwan Lee氏らによる前向き無作為化臨床試験の結果、16週間の監視型有酸素運動およびレジスタンス運動の介入により、過体重または肥満の早期乳がん患者におけるFraminghamリスクスコア(FRS)で予測された10年間の心血管疾患発症リスクが、低下することが示された。FRSは、10年間の心血管疾患発症リスクを予測する有効な方法として知られる。早期乳がんで過体重の患者では、同年齢の健康な女性と比較してFRSが高いことが報告されているが、これまでこの患者集団において運動介入によりFRSが低下するかどうかはわかっていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2019年3月28日号掲載の報告。
研究グループは、過体重または肥満の早期乳がん患者のFRSに及ぼす、有酸素運動およびレジスタンス運動介入の影響を調べるため、単一施設無作為化臨床試験を実施した。
対象は、登録前6ヵ月以内にがん治療が終了した、過体重または肥満(BMI≧25.0または体脂肪≧30%)で運動不足のStageI~IIIの乳がん患者100例。運動群と通常ケア(対照)群に無作為に割り付け、運動群では監視型有酸素運動を週3回、16週間実施した。
主要評価項目はFRSで、6項目(年齢、収縮期血圧、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値、糖尿病の有無、喫煙の有無)から算出し、混合モデル反復測定解析を用い、両群における平均変化量の差を評価した(intention-to-treat解析)。
主な結果は以下のとおり。
・100例(運動群50例、対照群50例)の患者背景は、55例(55%)がヒスパニック系白人で、平均年齢が53.5歳であった。
・16週後のFRSスコア(平均±SD)は、運動群で2.0±1.5、対照群で13.0±3.0であった。
・16週後のFRSスコアは、対照群と比較し運動群で有意に減少した(平均群間差:-9.5、95%CI:-13.0~-6.0)。これはFRSで予測される10年間の心血管疾患発症リスクの11%低下(95%CI:-15.0~-5.0)に相当した。
(ケアネット)