二日酔い症状の緩和にロキソプロフェンナトリウム(以下、ロキソプロフェン)が効くという言説。医療関係者ならば耳にしたことがあるかもしれないが、医学的に妥当なのだろうか。
今回、原 正彦氏(日本臨床研究学会 代表理事)が、二日酔いの症状緩和に対するロキソプロフェンの有効性を、医師を被験者としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験で検証したところ、頭痛を緩和する一方で全身倦怠感と吐き気は改善しないことが示された。Alcohol誌オンライン版で2020年3月3日に報告。
本試験は2017年7月~18年5月に実施。合計229人の医師がエントリーし、150人の被験者が二日酔い後の服薬を行ったところで終了した。被験者は、ロキソプロフェン群(n=74)またはプラセボ群(n=76)に無作為に割り付けられた。
主要エンドポイントは、試験薬服用前および服用後3時間における全身倦怠感の重症度の差とし、視覚的アナログ尺度(VAS)により評価した。副次エンドポイントは、頭痛と吐き気の重症度の違い、有害事象の発現率とした。被験者の年齢中央値は34歳(四分位範囲:30~39歳)、92.0%は男性であり、両群間のベースラインの患者背景は同等だった。
主な結果は以下のとおり。
・全身倦怠感の緩和において、ロキソプロフェン群とプラセボ群の間に統計学的に有意な差はみられなかった(VAS改善度の中央値:24[四分位範囲:14~49] vs.19[9~35]、p=0.07)。
・頭痛は、ロキソプロフェン群で有意に緩和された(25[10~50] vs.10[2~30]、調整差分:14、95%信頼区間:8~21、p<0.001)。
・吐き気の緩和に有意差はなく(7[0~27] vs.10[0~24]、p=0.68)、心窩部不快感などの有害事象の発現率も、両群間で同等だった(2.7%vs.3.9%、p=0.25)。
結果として、ロキソプロフェンは二日酔い後の頭痛を和らげるのに有効と考えられたが、全身倦怠感や吐き気は軽減しなかった。
原氏は、「試験中に数人の被験者から『渡された試験薬が実薬かプラセボか、事前にわかってしまうのではないか?』という声が寄せられ、(二重盲検のため)試験終了までドキドキしていたが、試験終了後にキーオープンを行い統計学的に評価したとき、試験薬の同定確率には群間差が認められなかったので安堵した」とコメントしている。
(ケアネット 堀間 莉穂)