マンモグラフィ、AIと医師一人読影の併用で高精度に

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/17

 

 人工知能(AI)は人間によるマンモグラフィ読影の限界を克服できるのだろうか。今回、米国・セージバイオネットワークスのThomas Schaffter氏らが検討したところ、AI単独では放射線科医を上回ることはなかったが、放射線科医の一人読影との併用で精度が改善することが示された。JAMA Network Open誌2020年3月2日号で発表した。

 診断精度に関する本研究は2016年9月~2017年11月に実施され、マンモグラフィ検診の読影に絞ったAIアルゴリズム開発を促進するために、国際的なクラウドソーシングチャレンジが開催された。44ヵ国126チーム、1,100人以上が参加し、2016年11月18日に分析を開始した。

 アルゴリズムは、画像単独、もしくは、画像、以前の検査(利用可能な場合)、および臨床的・人口統計学的危険因子データを組み合わせて使用し、12ヵ月以内のがんの有無を表すスコアをアウトプットした。アルゴリズムの乳がん検出の精度は、曲線下面積(AUC)およびアルゴリズムの特異度(放射線科医の感度を85.9%[米国]および83.9%[スウェーデン]に設定したときの放射線科医の特異度と比較)で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・8万5,580人の米国人女性(952人が検診後12ヵ月以内にがん陽性)における14万4,231件、および6万8,008人(780人ががん陽性)のスウェーデン人女性における16万6,578件の乳房X線写真を用いて、アルゴリズムのトレーニングと検証を行った。
・最も精度が高かったアルゴリズムは、AUCが0.858(米国)および0.903(スウェーデン)、放射線科医の感度における特異度が66.2%(米国)および81.2%(スウェーデン)で、地域医療の放射線科医における特異度の90.5%(米国)および98.5%(スウェーデン)より低かった。
・最も精度の高かったアルゴリズムと米国の放射線科医の判定を併用すると、AUCは0.942と上昇し、同感度における特異性は92.0%と大幅に改善した。

(ケアネット 金沢 浩子)