新型コロナ(2019-nCoV)肺炎とその他の肺炎の臨床的特徴に関する比較研究が行われ、新型コロナ肺炎では肝機能障害の発生頻度が高く、またLDHおよびα-HBDHの値がマーカーとなる可能性が示唆された。中国・安徽医科大学のDahai Zhao氏らによる、Clinical Infectious Diseases誌オンライン版3月12日号掲載の報告。
2020年1月23日から2月5日まで、中国・安徽省の2病院において、19例の新型コロナ肺炎患者と15例の非新型コロナ肺炎患者が登録された。1日おきに咽頭スワブまたは喀痰検体が採取され、リアルタイムRT-PCRにより2019-nCoV感染の有無が確認された。非新型コロナ肺炎患者については、入院後7日間での3回の連続的なリアルタイムRT-PCRで陰性だった場合に、確定された。
主な結果は以下のとおり。
・すべての患者に、COVID-19の確定症例への暴露歴あるいは、発症前の湖北省への旅行歴があった。
・平均年齢は、新型コロナ肺炎患者が48歳(IQR:27~56)、非新型コロナ肺炎患者が35歳(IQR:27~46)であった。
・慢性疾患の併存歴は、新型コロナ肺炎患者が3例(15.79%)、非新型コロナ肺炎患者が3例(20%)。血清検査の結果、新型コロナ肺炎患者でコクサッキーウイルスおよびマイコプラズマ陽性が1例ずつ、非新型コロナ肺炎患者でマイコプラズマ陽性が2例確認された。
・発症までの期間中央値は、新型コロナ肺炎患者で8日(IQR:6~11)、非新型コロナ肺炎患者で5日(IQR:4~11)であった。
・いずれの場合も臨床症状は類似しており、ともに多くみられたのは発熱(新型コロナ肺炎:78.95% vs.非新型コロナ肺炎:93.33%)、咳(47.37% vs.80%)であった。
・CT所見について、入院時両側性病変を有していたのは新型コロナ肺炎患者で15例(78.95%)、非新型コロナ肺炎患者では4例(26.7%)であった。多発性病変およびすりガラス影がみられたのは、新型コロナ肺炎患者で17例(89.47%)、非新型コロナ肺炎患者では1例(6.67%)のみであった。
・臨床検査結果について、新型コロナ肺炎患者では、非新型コロナ肺炎患者と比較してAST(>40U/L;27.78% vs.0%、p=0.03)、ALT(>50U/L;27.78% vs.0%、p=0.03)、γ-GT(>45 U/L;44.44% vs.0%、p=0.004)、LDH(>250U/L;31.58% vs.0%、p=0.02)、α-HBDH(>182U/L;75% vs.20%、p=0.01)の異常な増加がみられた。
・新型コロナ肺炎患者はロピナビルとリトナビル、対症療法により治療され、非新型コロナ肺炎患者は抗生物質(モキシフロキサシン)と対症療法により治療された。2020年2月14日までに、ICU入室が必要とされた患者はいなかった。
著者らは、本研究の限界としてサンプルサイズの小ささと、症例が軽症患者に限られる点を挙げた上で、CT検査がスクリーニングの一助になる可能性と、新型コロナ肺炎患者では肝機能関連マーカー(ALT、ASTおよびγ-GT)とLDH、α-HBDHの異常値がみられる頻度が高く、肝障害や他の臓器障害を引き起こす可能性があると指摘している。
(ケアネット 遊佐 なつみ)