全身療法未治療の切除不能肝細胞がん(HCC)に対する第III相IMbrave150試験において、アテゾリズマブとベバシズマブの併用はソラフェニブと比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。主要解析時点(データカットオフ:2019年8月29日)の、ソラフェニブ群に対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ群のOSハザード比(HR)は0.58(95%CI:0.42~0.79、p<0.001)PFS HRは0.59(95%CI:0.47~0.76、p<0.0001)であった。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、IMbrave150試験において完全奏効(CR)となった患者のベースライン特性についての報告があった。
主な結果は以下のとおり。
・mRECIST1.1による独立評価委員会(IRF)評価の奏効率(ORR)は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群27%に対し、ソラフェニブ群12%(p<0.0001)、IRF HCC mRECISTでは33%対13%(p<0.0001)であった。
・RECIST 1.1によるIRF評価のCR率は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群では6%、ソラフェニブ群は0%であった。
・奏効までの時間中央値は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群で2.8ヵ月(1.2〜11.3)とソラフェニブで3.3ヵ月(1.2〜7.2)であった。
・併用群のCR患者と全集団(ITT患者)のCR患者の特性は全体的には類似していたが、飲酒歴なし、大血管侵襲and/or肝外転移なし、局所治療歴ありでCR例が多かった。
アテゾリズマブ+ベバシズマブによってCRとなった患者は、予後不良因子や病因にかかわらず確認された。
(ケアネット 細田 雅之)