EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブの術後療法については、第III相ADAURA試験の結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2020 Virtual Scientific Program)で発表され、主要評価項目である無病生存期間(DFS)についてはオシメルチニブ群の有意な改善が報告されていた(HR:0.17、95%CI:0.12~0.23、p<0.0001)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が同試験の再発に関するデータを発表した。
・対象:EGFR変異陽性(Ex19del/L858R)のStage IB/II/IIIA非扁平上皮NSCLC完全切除患者682例(術後化学療法は許容)、PS 0〜1
・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間投与
・対照群:プラセボ
・評価項目:
[主要評価項目]主治医判定によるStage II/IIIA患者のDFS(想定HR=0.70)
[副次評価項目]全集団のDFS、2/3/4/5年時のDFS率、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL
今回の発表は、CNS転移を含む再発のパターンに関する探索的検討のデータである。
主な結果は以下のとおり。
・DFSイベントの発生率はオシメルチニブ群で11%、プラセボ群で46%あった。
・再発の内訳は、オシメルチニブ群では遠隔転移38%、局所再発62%、プラセボ群では遠隔転移61%、局所再発39%であった。
・CNS転移の発生率は、オシメルチニブ群で1%(4例)、プラセボ群で10%(33例)であった。
・CNS転移発生をイベントとしたCNS-DFSでは、HR:0.18、95%CI:0.10~0.33、p<0.0001で、2年DFS率は、オシメルチニブ群で98%、プラセボ群で85%であった。
坪井氏は「アジュバント・オシメルチニブは、Stage IB/II/IIIAのEGFR変異陽性NSCLC患者の臨床治療を変更し得るような有効な治療法である」と結論付けている。
試験結果は、ESMO発表の同日(2020年9月19日)、NEJMにも公開された。
(ケアネット)