アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相試験(ADAURA試験)において、EGFR遺伝子変異陽性の病理病期IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する完全切除後の補助療法としてのオシメルチニブの投与により、全生存期間(OS)が有意に改善したことを2023年3月10日のプレスリリースで発表した。
国際共同第III相比較試験ADAURA試験は、EGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)の病理病期IB~IIIAのNSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者を対象とした試験。術後補助療法として、オシメルチニブ80mg/日を投与する群(オシメルチニブ群)とプラセボを投与する群(プラセボ群)に1:1の割合で無作為に割り付け、最大3年間投与した(両群とも術後化学療法の使用は許容された)。なお、再発したプラセボ群の患者は非盲検下でオシメルチニブの投与を可能とした。主要評価項目は、病理病期II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)であり、副次評価項目は、全集団(病理病期IB~IIIA)におけるDFS、OSなどであった。
本発表では、主要な副次評価項目であるOSがオシメルチニブ群においてプラセボ群と比べて有意な改善を示し、かつ臨床的意義のある改善であったことが示されたとしている。なお、主解析においてDFSが統計学的有意かつ臨床的意義のある改善を示したことが報告されており、追跡調査ではDFSの中央値が約5.5年であったことが報告されている。本試験結果の詳細は、今後学会で発表される予定とのことである。
肺癌診療ガイドライン2022年版では、「CQ30. EGFR遺伝子変異陽性の術後病理病期II~IIIA期(第8版)完全切除例に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は勧められるか?」について、EGFRチロシンキナーゼ(EGFR-TKI)による術後化学療法がOSの延長を示した試験結果は報告されていないことなどを理由として、推奨度決定不能としていた。
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(ケアネット 佐藤 亮)