マンモ検診開始、40歳への引き下げは乳がん死を減少/Lancet Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2020/11/09

 

 40代から始めるマンモグラフィ検診の乳がん死への効果について、英国で行われた無作為化試験「UK Age試験」の最終結果が、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStephen W. Duffy氏らにより公表された。40歳または41歳という、より若い年齢から始める毎年のマンモグラフィ検診は、乳がん死の相対的な減少と関連していることが示されたという。フォローアップ10年以降は有意差がみられなくなっていたが、絶対的減少は変わらなかった。結果を踏まえて著者は、「スクリーニング開始年齢を50歳から40歳に引き下げることは、乳がん死を減少すると思われる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。

 研究グループは、40~48歳時のマンモグラフィ検診の乳がん死への影響を推定する無作為化試験を行った。英国全土にわたる23ヵ所の乳がん検診施設で被験者を募り、39~41歳の女性を、一般医(GP)で層別化して1対2の割合で無作為に介入群と対照群に割り付けた。

 介入群は、試験に包含された時の年齢から暦年で48歳に達するまで毎年マンモグラフィ検診を受けた。対照群は、国民保健サービスの乳がん検診プログラム(NHSBSP)から案内が来た約50歳時に初回検診を受ける標準ケアを受けた。介入群の女性への受診案内は郵送で行われた。また、対照群は試験参加を認識していなかった。

 主要エンドポイントは、被験者のNHSBSP初回検診前の介入期間中の乳がん死(直接の死因が乳がんであるとコード化されていた)診断であった。

 死亡への影響の時期を調べるため、さまざまなフォローアップ期間での結果を解析した。主要比較は、無作為化状況の準拠にかかわらず全女性を対象に行った(intention-to-treat解析)。本論では、長期的な解析が報告された。

 主な結果は以下のとおり。

・1990年10月14日~1997年9月24日に、16万921例の女性が試験に登録された。
・5万3,883例(33.5%)が介入群に、10万6,953例(66.5%)が対照群に無作為に割り付けられた。
・無作為化から2017年2月28日までのフォローアップの中央値は、22.8年であった。
・フォローアップ10年時点で乳がん死の有意な減少が観察された。介入群83例vs.対照群219例(相対比[RR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.58~0.97、p=0.029)。
・それ以降は有意な減少は認められなかった。介入群126例vs.対照群255例(RR:0.98、95%CI:0.79~1.22、p=0.86)。

(ケアネット)