コロナパンデミックの2020年、各国の超過死亡は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/31

 

 世界的な新型コロナウイルスの発生および感染拡大が見られた2020年。対コロナ施策や医療事情は国よって大きく異なるが、超過死亡の観点から分析するとどうなるのか。英国・オックスフォード大学ナフィールド人口保健局のNazrul Islam氏ら研究グループは、OECD加盟29ヵ国について2020年における超過死亡を調べたところ、米国、イタリア、英国、スペインなど26ヵ国で超過死亡の増加が見られた。これらの国の多くで、超過死亡の推定値がCOVID-19を死因として報告された死亡者数を大幅に上回っており、パンデミックが死亡率に与える影響を正確に判断するには超過死亡の評価が必要としている。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。

 本研究で分析対象としたのは、OECD加盟国のうち以下29ヵ国:オーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、イングランド、ウェールズ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、ラトビア、リトアニア、オランダ、ニュージーランド、北アイルランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スコットランド、スロバキア、スロベニア、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、米国。各国から収集された2020年における毎週(計52週)の年齢および性別ごとの死亡者数と、例年の死亡数を基にした推定死亡数との差の範囲を週別に推計。データ分析にはポアソン回帰モデルを用いた。

 主な結果は以下の通り。

・分析対象29ヵ国で、推定97万9,000(95%信頼区間[CI]:95万4,000~100万1,000)の超過死亡が発生した。このうち、ニュージーランド、ノルウェー、デンマークを除く26ヵ国で超過死亡が見られた。
・超過死亡が最も多かったのは米国(45万8,000人、95%CI:45万4,000~46万1,000)で、次いでイタリア(8万9,100、95%CI:8万7,500~9万700)、イングランドおよびウェールズ(8万5,400、95%CI:8万3,900~8万6,800)、スペイン(8万4,100、95%CI:8万2,800~8万5,300)、ポーランド(6万100、95%CI:5万8,800~6万1,300)が続いた。
・COVID-19流行のピークのタイミングと一致して、多くの国は北半球の春(3月~5月)と秋冬(10月~12月)に超過死亡の大きな波が見られた。春には、イタリア、スペイン、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、ベルギー、オランダで過剰死亡者数が多かった。秋冬には、オーストリア、ベルギー、チェコ共和国、ハンガリー、イタリア、リトアニア、ポーランド、スロバキア、スロベニア、スイスで超過死亡がとくに多く見られた。
・多くの国で、超過死亡の推定値が、COVID-19による死亡者数を上回った。米国と英国(イングランド、ウェールズ、北アイルランド、スコットランドを含む)では、いずれも推定超過死亡が30%以上多く、スペイン、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、リトアニア、スロバキア、エストニア、韓国では50%以上の増加が見られた。
・ニュージーランド、ノルウェー、デンマーク、イスラエル、フランス、ドイツ、ベルギー、スイスでは、推定超過死亡よりもCOVID-19死亡者数のほうが多かった。

(ケアネット 鄭 優子)