非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるアテゾリズマブの有効性と免疫関連有害事象(irAE) の関連を検討した第III相試験( IMpower130、IMpower132、 IMpower150)の統合解析の結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。
IMpower130、IMpower132、IMpower150はいずれも未治療Stage IV非扁平上皮NSCLCを対象にアテゾリズマブ含有レジメンを化学療法±ベバシズマブと比較した無作為化第III相試験。これらの試験のデータを統合し、治療(アテゾリズマブと対照)とirAE ステータスの関係を、Coxハザードモデルとランドマーク解析(1、3、6、12ヵ月)を用いて調査した。
主な結果は以下のとおり。
・分析対象は2,503例で、アテゾリズマブ群1,577例、対照群926例であった。
・全GradeのirAE発現は、アテゾリズマブ群48%、対照群32%、Grade3〜5の発現はそれぞれ、11%と5%であった。
・irAE の発症までの期間中央値は、アテゾリズマブ群1.7ヵ月、対照群1.4ヵ月であった。
・アテゾリズマブ群の全生存期間(OS)中央値はirAE(+)患者では25.7ヵ月、(ー)患者では13.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、信頼区間[CI]:0.60〜0.78)、対照群はirAE(+)患者20.4ヵ月、(ー)患者12.8ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.68〜0.99)と、両群ともirAE(+)患者で良好であった。
・アテゾリズマブ群の全奏効率(ORR)は、irAE(+)患者61.1%、(ー)患者37.2%、対照群ではirAE(+)患者42.2%、(ー)患者34.0%であった。
・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEの有無別にランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.85、3ヵ月では0.81、6ヵ月では0.82、12ヵ月0.75と、いずれもirAE(+)患者で優れていた。
・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEのGrade1/2と3〜4に分けてランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.78対1.25(Grade1/2 対Grade3〜4)、3ヵ月では0.74対1.23、6ヵ月では0.77対1.1、12ヵ月では0.72対0.87と、Grade1/2群で良好であった。
(ケアネット 細田 雅之)