アルツハイマー病のスクリーニングでは、アミロイド沈着のin vivoイメージングを行うための費用対効果に優れた非侵襲的な方法が求められる。網膜アミロイドは、アルツハイマー病の診断マーカーとなりうる可能性があるが、in vivoにおける網膜アミロイドイメージングに関する研究はほとんどない。岡山大学の田所 功氏らは、アルツハイマー病患者における網膜アミロイドのin vivoイメージングの有用性について調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月5日号の報告。
対象は、日本人被験者30例。その内訳は、アルツハイマー病患者13例、軽度認知障害(MCI)患者7例、健康対照者10例であった。対象者のアミロイド沈着を調査するため、。経口クルクミン摂取前後のレーザースキャン検眼鏡による眼底イメージングなどの眼科検査を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・アルツハイマー病患者の網膜アミロイド沈着は、健康対照者よりも増加が認められた(p<0.05)。
・MCI患者の網膜アミロイド沈着は、健康対照者と比較し、わずかな増加が認められた。
・網膜アミロイド沈着は、灰白質全体の萎縮と相関が認められたが(r=0.51、p<0.05)、ミニメンタルステート検査の認知症スコアや内側側頭葉萎縮との関連は認められなかった。
著者らは「網膜アミロイド沈着の非侵襲的なin vivo検出は、アルツハイマー病患者のスクリーニングに有用である」としている。
(鷹野 敦夫)