ドイツ国内および国際的なガイドラインにおいて、抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体による6~12ヵ月の治療で片頭痛の予防を達成した後、薬剤の使用中止が推奨されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、抗CGRP(受容体)抗体中止4ヵ月後の片頭痛の経過を分析した。Cephalalgia誌オンライン版2021年9月27日号の報告。
抗CGRP(受容体)抗体を8ヵ月以上使用した後に中止した片頭痛患者を対象に、縦断的コホート研究を実施した。治療開始4週間前(ベースライン)、最終治療の前月、最終治療5~8週間後および13~16週間後の頭痛データを分析した。主要エンドポイントは、最終治療の前月から13~16週間後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化とした。副次的エンドポイントは、1ヵ月当たりの片頭痛日数および急性期治療薬使用日数の変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、抗CGRP受容体抗体エレヌマブおよび抗CGRP抗体ガルカネズマブまたはフレマネズマブの使用で均等に割り振られた62例。
・最終治療の前月の1ヵ月当たりの片頭痛日数は、8.2±6.6日であった。
・1ヵ月当たりの片頭痛日数は、最終治療5~8週間後で10.3±6.8日(p=0.001)、13~16週間後で12.5±6.6日(p<0.001)と徐々に増加していた。
・最終治療13~16週間後の1ヵ月当たりの片頭痛日数は、ベースライン時と同程度であった(-0.8±5.4日、p>0.999)。
・1ヵ月当たりの片頭痛日数および急性期治療薬使用日数の変化においても、同様の結果が認められた。
著者らは「片頭痛予防における抗CGRP(受容体)抗体の中止は、片頭痛の頻度および急性期治療薬の使用を有意に増加させることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)