新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、アルコールベースの手指消毒剤(ABHS)を用いて毎日行う手洗いは、皮膚バリアの破壊率が低く、バクテリアや真菌のコロニー形成単位(CFU)数も低値であることが示された。
スペイン・Virgen de las Nieves University HospitalのTrinidad Montero-Vilchez氏らが、水とせっけん、ABHS、除菌シートを比較した無作為化試験の結果を報告した。COVID-19により手洗いの頻度は増したが、臨床におけるさまざまな手指衛生の皮膚バリア機能への影響に関するエビデンスは不足していた。Contact Dermatitis誌オンライン版2021年12月25日号掲載の報告。
研究グループは、日常診療における医療従事者のさまざまな手指衛生法の、皮膚バリア機能への影響を比較する無作為化試験を実施した。
被験者は、8時間の勤務中に、水とせっけん、ABHS、または除菌シートで手指を消毒する3群に無作為に割り付けられた。経表皮水分蒸散量(TEWL)などの表皮バリア機能パラメーター、および微生物負荷を、就業の前と直後に評価した。各製品の耐性と受容性は、就業後に記録した。
主な結果は以下のとおり。
・試験には62人が参加し、水とせっけん群20人、ABHS群21人、除菌シート群21人にそれぞれ無作為化された。
・8時間の勤務後、TEWLの増加は、除菌シート群が、水とせっけん群およびABHS群よりも高かった(それぞれ+5.45 vs.+3.87 vs.-1.46g・h-1・m-2、p=0.023)。
・細菌および真菌のCFU数の減少は、水とせっけん群が、ABHS群および除菌シート群よりも低かった。
・除菌シートは、水とせっけん、ABHSと比較して、使いにくいと見なされていた(p=0.013)。
(ケアネット)