睡眠不足や睡眠の質の低下は、さまざまな健康への悪影響を引き起こす可能性がある。睡眠障害といくつかの皮膚状態との関連が研究されているが、包括的な皮膚科患者の集団におけるデータは十分ではない。スイス・バーゼル大学のRianna Tamschick氏らは、皮膚科患者の睡眠障害の有病率、原因、影響について検討を行った。Clinics in Dermatology誌2021年11~12月号の報告。
単一施設による横断的研究を実施した。皮膚科患者を対象に、皮膚関連および非皮膚関連の健康、睡眠行動、睡眠障害の原因や影響に関する質問票への回答を求めた。
主な結果は以下のとおり。
・634例中、Regensburg Insomnia Scaleで不眠症と診断された患者は177例(27.92%)であった。
・177例中、主観的な睡眠障害が認められた患者は115例(64.97%)であり、その内訳は以下のとおりであった。
●皮膚関連の原因:64例(55.65%)
●非皮膚関連の原因:38例(33.04%)
●皮膚関連と非皮膚関連の併発:13例(11.30%)
・皮膚関連の原因が認められた77例の原因別患者数の内訳は、以下のとおりであった。
●かゆみ:50例(64.49%)
●皮膚関連の疼痛:43例(55.84%)
●皮膚関連の恐怖感:42例(54.55%)
・睡眠障害により、115例中79例(68.70%)は日中のパフォーマンスが低下しており、24例(20.87%)は相対的に睡眠の質が低下していた。
・異なる診断カテゴリにおける不眠症の有病率の範囲は、20.31~50.00%であった。
・睡眠改善に対する最も一般的な方法は、睡眠薬の使用であった(115例中66例、57.39%)。
著者らは「皮膚疾患患者では、睡眠障害が一般的に認められており、日中のパフォーマンスの低下や相対的な睡眠障害、薬物療法の増加につながる可能性が高いと考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)