進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有用性を示したCheckMate-648試験。2022年2月に開催された第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)において、本試験の日本人サブグループの解析結果を、神奈川県立がんセンターの尾形 高士氏が発表した。
[CheckMate-648試験]
・対象:未治療の切除不能な進行または転移のある食道扁平上皮がん患者
・試験群:以下の3群に1対1の割合で無作為に割り付け
ニボイピ群:ニボルマブ3mg/kgを2週ごと+イピリムマブ1mg/kgを6週ごと
ニボケモ群:ニボルマブ240mgを2週ごと+化学療法(4週を1サイクルとして、1~5日目までフルオロウラシル800mg/m2、1日目シスプラチン80mg/m2)
ケモ群:化学療法単独
・評価項目:
[主要評価項目]PD-L1発現率が1%以上(TPS≥1%)の患者における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全体集団のOSおよびPFS、TPS≥1%および全体集団の奏効率(ORR)
日本人サブグループにおける主な結果は以下のとおり。
・全970例のうち、日本人は394例(ニボイピ群:131例、ニボケモ群:126例、ケモ群:137例)が登録された。最短フォローアップ期間は12.9カ月であった。
[OS中央値]
TPS≥1%
ニボイピ群 20.2カ月、ニボケモ群17.3カ月、ケモ群9.0カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピvs.ケモ群. 0.46[0.30~0.71]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.53[0.35~0.82])。
日本人全体集団
ニボイピ群 17.6カ月、ニボケモ群15.5カ月、ケモ群11.0カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピ群vs.ケモ群. 0.68[0.51~0.92]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.73[0.54~0.99])。
[PFS中央値]
TPS≥1%
ニボイピ群5.4カ月、ニボケモ群7.0カ月、ケモ群4.2カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピ群vs.ケモ群. 0.84[0.54~1.32]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.56[0.36~0.89])。
日本人全体集団
ニボイピ群4.2カ月、ニボケモ群6.8カ月、ケモ群4.3カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピ群vs.ケモ群. 1.16[0.85~1.57]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.76[0.56~1.03])。
[ORR]
TPS≥1%
ニボイピ群44(32~57)%、ニボケモ群65(51~76)%、ケモ群17(9~28)%
日本人全体集団
ニボイピ群36(28~45)%、ニボケモ群56(47~65)%、ケモ群24(17~32)%
・治療関連有害事象はニボイピ群85%(うちGrade3以上37%)、ニボケモ群99%(同49%)、ケモ群93%(同36%)の発現率であった。
尾形氏は「日本人サブグループ解析の結果は全体集団と大きな差はなく、本結果より、日本人においても進行食道扁平上皮がんに対する1次治療としてニボイピまたはニボケモの併用療法は新しい治療選択肢になり得ると考えられる」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)