RAS野生型の進行・再発大腸がん(mCRC)1次治療において、パニツズマブ+mFOLFOX6とベバシズマブ+mFOLFOX6を比較したPARADIGM試験の最終解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)のPlenary Sessionで、国立がん研究センター東病院の吉野孝之氏から報告された。
PARADIGM試験でパニツズマブとmFOLFOX6の併用療法に優位性
PARADIGM試験は、日本国内の197施設で実施されたオープンラベルの第III相無作為化試験である。
・対象:転移のある未治療の
RAS野生型大腸がん(mCRC)患者(823例)
・試験群:パニツズマブ+mFOLFOX6(Pani群:411例)
・対照群:ベバシズマブ+mFOLFOX6(Beva群:412例)
・評価項目:
[主要評価項目1] 左側原発例(左側集団)における全生存期間(OS)
[主要評価項目2] 右側原発例を含む全体集団におけるOS
主要評価項目1で統計学的有意差が検出された場合にのみ、主要評価項目2の検定を実施する計画
[副次評価項目] 左側集団と全体集団における無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、治癒切除率(R0)、および全体集団における安全性
[探索的評価項目] 奏効の深さ(DpOR)、早期腫瘍縮小率(ETS)など
PARADIGM試験の主な結果は以下のとおり。
・症例登録期間2015年5月~2017年6月(データカットオフ2022年1月)、観察期間中央値は61ヵ月であった。
・左側集団はPani群312例(78.0%)、Beva群292例(72.6%)であった。
・左側集団のOS中央値は、Pani群37.9ヵ月、Beva群34.3ヵ月で、ハザード比(HR)は0.82(95%CI:0.68~0.99)、p=0.031とPani群が統計学的に優位であった。
・全体集団のOS中央値は、Pani群36.2ヵ月、Beva群31.3ヵ月で、HRは0.84(95%CI:0.72~0.98)、p=0.030とPani群が統計学的に優位であった。
・これらのOSに関して、事前に計画されたサブグループ解析においては、概してPani群が優位であり、特異なサブグループはなかった。
・左側集団および全体集団におけるPFSは、Pani群とBeva群間に有意な傾向差は見られなかった。
・左側集団のORRはPani群80.2%、Beva群68.6%、全体集団ではPani群74.9%、Beva群67.3%であった。
・左側集団R0率はPani群18.3%、Beva群11.6%、全体集団R0率はPani群16.5%、Beva群10.9%であった。
・右側集団におけるOS中央値はPaniが20.2ヵ月、Beva群23.2ヵ月でHRは1.09であった。
・Grade3以上の有害事象(AE)はPani群で71.8%、Beva群で64.9%、AEによる治療中止の割合はPani群23.8%、Beva群18.4%であった。
最後に演者の吉野氏はPARADIGM試験について「日本発のデータで、
RAS野生型の左側の進行・再発大腸がんに対する 1次治療としてのパニツズマブとmFOLFOX6の併用療法の優位性が実証された」と結んだ。
(ケアネット)