RAS/BRAF野生型の切除不能進行・再発大腸がんに対する1次治療で、mFOLFOXIRI と抗EGFR抗体パニツムマブ(PAN)との併用療法(mFOLFOXIRI/PAN)は、mFOLFOX6とPANとの併用療法(mFOLFOX6/PAN)に比べて奏効率(ORR)に差がなく、下痢などの有害事象(AE)の発現率高いことが、GONOグループが実施した第III相無作為化試験(TRIPLETE試験)で示された。イタリア・Azienda Ospedaliera大学のChiara Cremolini氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で発表した。
RAS/BRAF野生型の切除不能進行・再発大腸がん患者の1次治療を検証
ダブレット(FOLFOX/FOLFIRI)と抗EGFR抗体(セツキシマブまたはPAN)の併用療法は、RAS/BRAF遺伝子野生型の切除不能進行・再発大腸がん患者の1次治療の治療選択肢となっている。一方、RAS野生型大腸がんを対象に、トリプレット(mFOLFOXIRI)とPANの併用療法の有用性を検証した第II相無作為化試験(VOLFI試験)では、mFOLFOXIRI / PAN はFOLFOXIRIに比べて良好な奏効率(87% vs 61%, p=0.004)を示し、無増悪生存期間(PFS)は同等との結果が得られている。同試験では、
RAS/BRAF野生型の切除不能進行・再発大腸がん患者の1次治療をダブレットからトリプレットに強化した際の付加価値について検証した。
・対象:未治療の
RAS/BRAF野生型の切除不能進行・再発大腸がん患者
・試験群:mFOLFOXIRI/PANを最大12サイクル投与後、5-FU/ロイコボリン(LV)/PANを増悪(PD)まで投与、218例
・対照群:mFOLFOX6/PANを最大12サイクル投与後、5-FU/LV/PANをPDまで投与、217例
・評価項目:
[主要評価項目]ORR
[副次評価項目]早期腫瘍縮小、腫瘍縮小率、PFS、全生存期間(OS)、転移巣のR0切除率など
RAS/BRAF野生型の切除不能進行・再発大腸がん患者の1次治療をダブレットからトリプレットに強化した際の付加価値について検証した主な結果は以下のとおり。
・試験開始時の患者背景(試験群/対照群)は、ECOG PS0(84%/80%)、同時性転移(87%/88%)、肝臓のみの転移(39%/37%)、原発腫瘍の部位が左側(88%/88%)、ミスマッチ修復機構欠損[dMMR](3%/1%)であった。
・主要評価項目であるORRは試験群で73%、対照群では76%であり(オッズ比[OR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.56~1.34、p=0.526)、両群間に有意差は認められなかった。
・転移巣のR0切除率は試験群で25%、対照群で29%であり(OR:0.81、95%CI:0.53~1.23、p=0.317)、両群間に有意差は認められなかった。
・早期腫瘍縮小、腫瘍縮小率、PFS、OSについても、両群間に有意な差は示されなかった。
・Grade3/4のAE発現率(試験群/対照群)は、下痢(23%/7%)、好中球減少症(32%/20%)、発疹(19%/29%)などであった。
(ケアネット)