古典的ホジキンリンパ腫では、これまで標準療法であるABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が初めて全生存期間(OS)でABVD療法に優ったことが示された。このECHELON-1試験の結果を、米国・メイヨー・クリニックのStephen M. Ansell氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。
ホジキンリンパ腫治療のECHELON-1試験でA-AVD群のOSの優位性が示された
これまでホジキンリンパ腫治療で、A-AVD療法はABVD療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)の延長効果が示されていたが、今回のECHELON-1試験の結果発表では、追跡期間中央値73ヵ月(約6年)の長期に渡るPFSの利点とあわせ、OSについての優位性が初めて示されたことになる。
・対象:StageIII/IVの進行古典的ホジキンリンパ腫患者
・試験群(A-AVD群):A+AVD最大6サイクル(ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kg)664例
・対照群(ABVD群):ABVD最大6サイクル 670例
・評価項目:
[主要評価項目]独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)
ホジキンリンパ腫の治療においてA-AVD療法とABVD療法を比較したECHELON-1試験の主な結果は以下のとおり。
・推定6年のOS率はA-AVD 群93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6~95.5)、ABVD群89.4%(86.6~91.7)で、それぞれ39件と64件のOSイベントが発生した。
・A-AVD群のOSの優位性が示された(HR:0.59、0.40~0.88、p=0.009)。OSのメリットはサブグループ全体で一貫していた。
・6年間のPFS推定値はA-AVD群とABVD群で82.3%(79.1~85.0)vs.74.5%(70.8~77.7)だった(HR:0.68、0.53~0.86)。
・治療に起因する末梢神経障害は両群で引き続き解消または改善し、A-AVD群およびABVD群の症例の86%(379/443例)および87%(249/286例)が完全に解消した。A-AVD群、ABVD群で報告された二次悪性腫瘍は少なかった(23 vs.32)。A-AVDはABVDと同等の長期安全性が確認された。
著者らはホジキンリンパ腫の治療において「A-AVD治療により、ABVDと比較して死亡リスクが41%と有意に減少し、以前の報告と一致する管理可能な安全性プロファイルが得られた。これらの結果は、A-AVD療法がStageIII/IVの古典的ホジキンリンパ腫の1次治療として好ましい選択肢であることを裏付けている」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)