サル痘疑い患者にはN95マスク、手袋、ガウン、眼の防護/国立感染症研究所・国立国際医療研究センター

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/13

 

 国立感染症研究所と国立国際医療研究センター国際感染症センターは、連名で「サル痘患者とサル痘疑い例への感染予防策」を2022年6月15日に発表し、今回その内容を改正し、7月8日に同研究所のホームぺージに公開した。全世界でサル痘の感染拡大が懸念される中、診療にあたる医療者が注意すべきポイントについて本対策ではコンパクトに記している。

サル痘の感染経路

 サル痘は接触感染や飛沫感染を起こすが、日常生活の中で空気感染を起こすことは確認されていない。ただし、空気感染を起こすと考えられている麻しんや水痘との臨床的な鑑別が困難であるため、発熱と発疹がありそれらの感染症が否定できない間は、サル痘疑いの患者には空気予防策の実施が求められる。

サル痘の診療時の態勢と装備

 医療従事者がサル痘確定患者に接する場合(検体採取時含む)は、患者を換気良好な部屋に収容し、N95マスク、手袋、ガウン、眼の防護具を着用する(患者のリネン類を扱う者や清掃担当者も同様)。

 患者が使用したリネン類は、診断が確定するまでなるべく触れずに管理し、診断が確定してから適切な処理を行う。サル痘が確定したら、リネン類は、前述の個人防護具を着用して自身の粘膜に触れないように運搬し、通常の洗剤を用い常温で洗濯を行う(WHOなどは温水を推奨)。手指衛生を頻回に行い、とくにリネン類を扱った後は必ず手指衛生(流水と石鹸による手洗い、または擦式アルコール性手指消毒薬での消毒)を行う。

 患者が滞在する、または滞在した環境は通常に清掃を行い、その後消毒(エンベロープウイルスに対して強い消毒効果を発揮する薬剤[消毒用エタノールなど])を行う。廃棄物は感染性廃棄物として扱う。

 サル痘疑い例やサル痘患者は、可能な限りサージカルマスクを着用し、水疱を含む皮膚病変はガーゼなどで被覆する。

家庭内などでのサル痘の感染対策はどうする

 サル痘疑い例やサル痘患者は、自宅などの滞在場所では、以下に留意する。
・患者は同居人と肌や顔を接しないようにし、リネン類の共有を避ける。
・患者が使用したリネン類は、病変や体液からの感染性粒子が飛散する可能性があるため、不用意に振り回したりせず、静かにビニール袋などに入れて運搬し、洗濯機に入れる。洗濯した後は再利用可能である。
・ベッド、トイレ、患者が接触した場所(家具や床など)は、使い捨て手袋を着用して清掃し、その後消毒薬で清拭する。清掃や消毒後は手指衛生を行う。
・患者が使用した食器や調理器具は、石鹸や洗剤などで洗った後に再利用可能である。
・常に十分な換気を行うよう配慮する。

 すべての皮疹が痂皮となり、すべての痂皮が剥がれ落ちて無くなるまで(おおむね21日間程度)は上記の感染対策を継続する。

(ケアネット 稲川 進)

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