ペルツズマブ併用HER2+乳がん術後療法、8年時の解析結果(APHINITY)/ロシュ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/19

 

 ロシュ・ダイアグノスティックスは2022年7月15日付けのプレスリリースで、HER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験について、8年の長期フォローアップデータを発表した。なお、本データは欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル・プレナリー(VP6-2022)で発表されたもの。

トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群は再発または死亡リスクを23%削減

 APHINITY試験は、HER2陽性早期乳がん患者の術後療法として、化学療法+トラスツズマブにペルツズマブを併用した際のプラセボ群に対する無浸潤疾患生存期間(iDFS)における優越性を検証した無作為化二重盲検プラセボ対照二群間比較試験。主要評価項目のiDFSについて、トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群の有意な改善が報告されている。

 今回発表された、HER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験の8年時の中間解析結果は以下の通り。

・追跡期間中央値は8.4年(101ヵ月)。
・トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群では、プラセボ群と比較して死亡例が少なかった(168 [7.0%] vs.202 [8.4%]、ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.68~1.02)。ただし、OSデータは未成熟であり、統計学的有意性はまだ達成されていない。
・トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群では、プラセボ群と比較して乳がんの再発または死亡リスクを、ITT集団全体で23%削減し続けていた(iDFS;HR:0.77、95%CI:0.66~0.91)。
・とくにリンパ節転移陽性患者で最も大きなベネフィットが観察され、トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群では再発または死亡リスクを28%削減していた(iDFS;HR:0.72、95%CI:0.60~0.87)。
・以前の解析結果と同様に、ホルモン受容体の状態に関係なくトラスツズマブ+ペルツズマブ併用群のベネフィットが観察された。ホルモン受容体陽性群での再発または死亡のリスクは25%削減され(iDFS;HR:0.75、95%CI:0.61~0.92)、ホルモン受容体陰性群では18%削減された(iDFS;HR:0.82、95%CI:0.64~1.06)。
・心臓に対する安全性を含め、安全性プロファイルは以前の研究と一致しており、新たなまたは予期しない安全性シグナルは特定されなかった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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