スタチン服用の日本人患者で発がんリスクが有意に低下

スタチン製剤の服用によって、日本人の脂質異常症患者の発がんリスクが低下したことが報告された。東京理科大学の前田絢子氏らが、保険請求データを用いた大規模な人口ベースの後ろ向きコホート研究を行い、スタチン製剤と日本人患者における発がんリスクの関係を調査した。近年の調査において、スタチン製剤が特定のがんの発生率を低下させる可能性が示唆されている。しかし、臨床試験では明らかにされておらず、日本人患者での調査も限定的であった。Cancer prevention research誌オンライン版2022年8月2日掲載。
スタチンの発がんリスク低下はとくに消化器がんで顕著
本調査の対象は、2006~2015年に脂質異常症と新たに診断された患者。日本の保険請求データを用い、期間中にスタチン製剤を服用開始した群(服用群)と、年齢・性別・診断年に応じて無作為に抽出した非服用群を比較した。解析対象は各群23,746例で平均追跡期間は約2年、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。スタチン製剤と日本人脂質異常患者における発がんリスクの関係を調査した主な結果は以下のとおり。
・スタチン服用群では、非服用群と比較して、有意に発がんリスクが低下した(調整ハザード比[aHR]:0.85、95%CI:0.72~0.97)。
・サブグループ解析において、スタチン服用群の発がんリスクの低下は、とくに消化器がんで顕著であった(aHR:0.79、95%CI:0.63~0.99)
(ケアネット 森 幸子)
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