新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関係するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では新型コロナワクチン接種と帯状疱疹リスクの増加とは関係していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。
コロナワクチンと帯状疱疹とは関係しなかった
本コホート研究では、自己対照リスク期間分析を用いて、新型コロナワクチン接種後30日目または2回目接種日までのリスク期間と、新型コロナワクチン最終接種日から60~90日のコントロール期間(リスク期間とコントロール期間の間に30日間を確保)における帯状疱疹の発症リスクを比較した。また、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹リスクを、パンデミック以前(2018年1月1日~2019年12月31日)もしくはパンデミック初期(2020年3月1日~11月30日)にインフルエンザワクチンを接種した2つのコホートにおけるインフルエンザワクチン接種後の帯状疱疹リスクと比較した。データは米国の医療請求データベース(Optum Labs Data Warehouse)から入手。2020年12月11日~2021年6月30日に、ファイザー製ワクチン(BNT162b2)、モデルナ製ワクチン(mRNA-1273)、ヤンセン製ワクチン(Ad26.COV2.S)のいずれかを接種した203万9,854人のデータを分析した。
新型コロナワクチン接種と帯状疱疹リスクの増加との関係を検討した主な結果は以下のとおり。
・新型コロナワクチンを接種した203万9,854人の平均年齢(SD)は43.2(16.3)歳で、女性が50.6%、白人が65.9%であった。このうち、帯状疱疹と診断された1,451人が自己対照リスク期間分析の対象で、平均年齢(SD)は51.6(12.6)歳、女性が58.2%だった。
・自己対照リスク期間分析において、新型コロナワクチン接種は帯状疱疹のリスク上昇と関係しなかった(発生率比[IRR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.82~1.01、p=0.08)。
・ファイザー製ワクチン接種では帯状疱疹リスクが低下し(IRR:0.84、95%CI:0.73~0.97、p=0.02)、モデルナ製ワクチン接種は帯状疱疹リスクとの関連は認められなかった(IRR:0.96、95%CI:0.81~1.15、p=0.67)。
・新型コロナワクチン接種は、パンデミック以前のインフルエンザワクチン接種と比べて帯状疱疹リスクが低かった。
- 1回目接種のハザード比(HR):0.78、95%CI:0.70~0.86、p<0.001
- 2回目接種のHR:0.79、95%CI:0.71~0.88、p<0.001
また、パンデミック初期のインフルエンザ接種とは有意差が認められなかった。
- 1回目接種のHR:0.89、95%CI:0.80~1.00、p=0.05
- 2回目接種のHR:0.91、95%CI:0.81~1.02、p=0.09
(ケアネット 金沢 浩子)