EGFR陽性肺がんの1次治療においてオシメルチニブはスタンダードだが、同レジメンを大規模に観察したリアルワールドデータはない。第63回日本肺癌学会学術集会では、愛知県がんセンターの大矢由子氏により、同治療の有効性と安全性をリアルワールドで評価したOSI-FACT試験の追跡結果が発表された。
対象は、2018年8月〜2019年12月にHanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)を中心に登録された、EGFR変異陽性NCSLC患者538例。これらの患者を後ろ向きに解析した。データカットオフは2022年2月28日で、追跡期間中央値は35.0ヵ月である。
主な結果は以下のとおり。
・対象には、グローバル試験の適格基準外となる、ECOG PS≧2(16.2%)、EGFR希少変異(5.5%)、症候性脳転移(6.1%)、髄膜炎(1.1%)。症候性胸水・腹水(9.7%)、間質性肺炎合併例(1.7%)も含まれている。
・オシメルチニブ1次治療のPFS中央値は20.2ヵ月であった(観察期間中央値34.4ヵ月)。
・OS中央値は未到達であった。
・EGFR変異サブタイプによるPFS:exon19delでは26.3ヵ月、L858Rでは16.6ヵ月であった。
・PD-L1発現レベル別のPFS:PD-L1<1%では27.89ヵ月、1〜49%では15.61ヵ月、≧50%では10.48ヵ月であった。
・奏効率は79.8%、病勢制御率は94.0%であった。
・治療中断例は28.1%であった。
・肺臓炎の発現は全Gradeで15.7%、Grade3以上は5.2%であった。また、肺臓炎は中長期的にも発現していた。
(ケアネット 細田 雅之)