乳がん診断後に体重が増加しやすい人は?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/06

 

 乳がん診断後には体重が増加することが多い。体重増加の予測因子を同定するため、オーストラリア・Western Sydney UniversityのCarolyn Ee氏らは、オーストラリア人女性における乳がん診断後の体重増加に関連する因子を調査した。その結果、タモキシフェン投与、身体活動の減少、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感の低下が、臨床的に有意な体重増加に関連することがわかった。Breast誌オンライン版2023年1月25日号に掲載。

 本研究では、2017年11月~2018年1月にオーストラリア在住の乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断された女性を対象に横断的オンライン調査した。絶対的な体重増加および臨床的に有意な(5%以上)体重増加の予測因子を、それぞれステップワイズ線形回帰モデルおよびロジスティック回帰モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・276例のデータを分析した。ほとんどが白人で、92%がStage0~IIIだった。
・絶対的体重増加は、ホットフラッシュ、診断時に更年期への移行期であること、診断時よりも身体活動が少ないこと、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感(self-efficacy)が低いこと、不安や緊張時の自己効力感が高いことと関連していた(F比=3.26、調整R2=0.16、p<0.001)。
・臨床的に有意な体重増加は、タモキシフェン投与(オッズ比[OR]:2.7)、診断時よりも身体活動が少ないこと(OR:3.1)、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感が低いこと(OR:0.82)と関連していた(χ2=64.94、自由度:16、p<0.001)。
・体重増加は、化学療法、放射線療法、アロマターゼ阻害薬の使用、切除リンパ節数、診断時のBMIとは関連していなかった。

 これらの結果から、著者らは「タモキシフェン投与患者には、乳がん診断後の体重増加抑制のための介入、とくに身体活動の維持を目的とした介入が必要である。乳がん診断後の体重管理における食事の自己効力感、とくに食物に注意を向けた食べ方(attentive eating)の役割について調べる必要がある」と考察している。

(ケアネット 金沢 浩子)